第百十六篇  題目 すくひさかづき (十三)



  1. われヱホバをいつくしむ そはわが聲とわが願望ねがひとをきゝたまへばなり
  2. ヱホバみゝをわれにかたぶけたまひしがゆゑに われにあらんかぎりヱホバをよびまつらむ
  3. 死のなはわれをまとひ陰府よみのくるしみわれにのぞめり われは患難なやみとうれへとにあへり
  4. その時われヱホバのみなをよべり ヱホバよねがはくはわが靈魂たましひをすくひたまへと
  5. ヱホバは恩惠めぐみゆたかにして公義たゞしくましませり われらの神はあはれみ深し
  6. ヱホバは愚かなるものをまもりたまふ われひくくせられしがヱホバわれをすくひたまへり
  7. わが靈魂たましひよなんぢの平安やすきにかへれ ヱホバは豐かになんぢをあしらひたまへばなり
  8. なんぢはわがたましひを死より わが目をなみだより わが足を顚蹶つまづきよりたすけいだしたまへり
  9. われはいけるものの國にてヱホバのまへにあゆまん
  10. われおほいになやめりといひつゝもなほ信じたり
  11. われあわてしときにいへらく すべての人はいつはりなりと
  12. われいかにしてそのたまへるもろもろの恩惠めぐみをヱホバにむくいんや
  13. われすくひのさかづきをとりてヱホバのみなをよびまつらむ
  14. われすべてのたみのまへにてヱホバにわがちかひをつくのはん
  15. ヱホバの聖徒せいとの死はそのみまへにてたふとし
  16. ヱホバよまことにわれはなんぢのしもべなり われはなんぢの婢女はしための子にしてなんぢのしもべなり なんぢわが縲絏いましめをときたまへり
  17. われ感謝をそなへものとしてなんぢにさゝげん われヱホバのみなをよばん
  18. われすべてのたみのまへにてヱホバにわがちかひをつくのはん
  19. ヱルサレムよなんぢのなかにてヱホバのいへの大庭おほにはのなかにてこれをつくのふべし ヱホバをほめまつれ

 本篇はすくひの道を示す詩なり。
一、罪の爲にくるしむ(三)──『死の繩われをまとひ陰府よみのくるしみ我にのぞめり われは患難なやみとうれへとにあへり』
二、神に祈る(四)──『その時われヱホバのみなをよべり ヱホバよねがはくはわが靈魂たましひをすくひたまへと』
三、祈禱いのり答へらる(五)──『ヱホバは恩惠めぐみゆたかにして公義たゞしくましませり われらの神はあはれみ深し』
四、ゆたかなるすくひ(六をはり、七)──『われひくくせられしがヱホバ我をすくひたまへり わが靈魂たましひよなんぢの平安やすきにかへれ ヱホバは豐かになんぢをあしらひたまへばなり』
このすくひに以下の七つの個條かでうあり。
一、生命いのち(八はじめ)──『なんぢはわがたましひを死より……たすけいだし』
二、慰藉なぐさめ(八中程なかほど)──『わが目をなみだより……たすけいだし』
三、罪に勝つ力(八をはり)──『わが足を顚蹶つまづきよりたすけいだしたまひき』
四、神の前の生涯(九)──『われはいけるものの國にてヱホバの前にあゆまん』
五、感恩の情(十二)──『我いかにしてそのたまへるもろもろの恩惠めぐみをヱホバにむくいんや』
六、神のものなりとの信仰(献身の結果)(十六)──『ヱホバよまことにわれはなんぢのしもべなり われはなんぢの婢女はしための子にしてなんぢのしもべなり』
七、感謝讃美(十七)──『われ感謝をそなへものとしてなんぢにさゝげん われヱホバのみなをよばん』
 全きすくひを得たるものは以上の七個條しちかでうを有す。



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