書

第 五 十 七 章



  1. 義者たゞしきものほろぶれども心にとむる人なくいつくしみ深き人々とりさらるれどもたゞしきものゝ禍害わざはひのまへより取去とりさらるゝなるを悟るものなし
  2. かれらは平安やすきにいりなほきをおこなふ者はその寐床ふしどにやすめり

  3. なんぢら巫女みこの子 淫人たはれびとまた妓女うかれめすゑちかづきゝたれ
  4. なんぢらたれにむかひてたはふれをなすや たれにむかひて口をひらき舌をのばすや、なんぢらは悖逆そむき子輩こら いつはりの黨類ともがらにあらずや
  5. なんぢらは橿樹かしのきのあひだ みどりなる木々のしたに心をこがし 谷のなか岩の狹間はざまに子をころせり
  6. なんぢは谷のなかのなめらかなる石をうくべき嗣業ゆづりとし、これをなんぢが所有もちものとす、なんぢまたこれに灌祭くゎんさいをなしこれにそなへものを献げたり、われこれによりていかで心をなだむべしや
  7. なんぢは高くそびえたる山の上になんぢのとこをまうけ、かつ其處そこにのぼりゆきて犧牲いけにへをさゝげたり
  8. また戶および柱のうしろになんぢの紀念をおけり、なんぢわれをはなれて他人あだしびとに身をあらはし登りゆきてそのとこをひろくし、かれらとちかひをなし又かれらのとこを愛しこれがためにその所をえらびたり
  9. なんぢ香膏にほひあぶらとおほくの薰物かをりものとをたづさへて王にゆき又なんぢの使者つかひをとほきにつかはし陰府よみにまでおのれをひくゝせり
  10. なんぢみちのながきに疲れたれどなほのぞみなしといはず なんぢ力をいきかへされしによりて衰弱おとろへざりき
  11. なんぢたれをおそれたれのゆゑにをのゝきていつはりをいひわれをおもはずまたそのことを心におかざりしや、われ久しくもだしたれどなんぢかへりてわれをおそれざりしにあらずや
  12. われなんぢの義をつげしめさん、なんぢのわざはなんぢにえきせじ
  13. なんぢよばはるときその集めおきたるものなんぢをすくへ 風はかれらをことごとくあげさり息はかれらをふきさらん、されどわれに依賴よりたのむものは地をつぎわが聖山きよきやまをうべし
  14. また人いはん、土をもり土をもりてみちをそなへよ わがたみのみちより躓礙つまづくものをとりされと

  15. 至高いとたか至上いとうへなる永遠とこしへにすめるもの 聖者せいしゃとなづくるもの如此かくいひたまふ、われはたかき所きよき所にすみまたこゝろ碎けてへりくだる者とゝもにすみへりくだるものゝれいをいかし碎けたるものゝ心をいかす
  16. われかぎりなくは爭はじ われたえずはいからじ、しからずば人のこゝろがまへにおとろへん、わが造りたるれいはみなしからん
  17. かれのむさぼりの罪によりわれいかりてこれをうち、またかほをおほひていかりたり、しかるになほもとりておのがこゝろのみちにゆけり
  18. されどわれそのみちをみたり われかれをいやすべし、又かれを導きてふたゝび安慰なぐさめをかれとそのなかのかなしめる者とにかへすべし
  19. われくちびるのをつくれり 遠きものにも近きものにも平安やすきあれ 平安やすきあれ われかれをいやさん、はヱホバのみことばなり
  20. しかはあれど惡者あしきものはなみだつ海のごとし 靜かなることあたはずしてその水つねににごりどろとをいだせり
  21. わが神いひたまはく あしきものには平安やすきあることなしと


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