新約全書 使徒パウロ コリント人に贈れる前書
第 八 章
- 偶像に獻し物に就ては我儕みな知識あることをしる 知識は人を驕しむ 然ど愛は德を建るもの也
- 若みづから能ものを知と意ふ者は未だ其知べきほどをも知ざる者なり
- 人もし神を愛せば是神に知れたる也
- 偶像に獻し物を食するに就ては我儕偶像の世に無ものなるを知 また獨の神の外に神なきを知
- 神と稱るもの或は天に在あるひは地に在て多の神おほくの主あるが如しと雖も
- 我儕に於ては惟一の神すなはち父あるのみ 萬物これより生われら之に歸す 又ひとりの主即ちイエスキリストあり 萬物はこれに由われらも之に由り
- 然どみな斯る事を知ず 今に至りて尚心に偶像を顧み之を偶像に獻し物と意て食する者あり 是故にその心弱して汚るゝなり
- 神と我儕の關係は食物に由に非ず 食するも益ることなく食せざるも損ることなし
- 然ど爾曹愼みて其自由を柔弱者の躓となす勿れ
- 人もし知識ある所の爾偶像の廟に坐して食するを見ば柔弱者の心之に勸られて偶像に獻し物を食せざらん乎
- 又キリストの代て死たまひし弱き兄弟爾の知識に因て淪亡ざらん乎
- 此の如く爾曹兄弟に罪を犯し其弱き心を傷めしむるはキリストに罪を犯すなり
- 是故に若し食物わが兄弟を礙かせば我は兄弟を礙かせざる爲に永久も肉を食はじ
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