第四篇 題目 聖顏の光を上らせ給へ (六)
琴にあはせて伶長のうたはしめたるダビデの歌
- わが義をまもりたまふ神よ ねがはくはわが呼るときに答へたまへ わがなやみたる時なんぢ我をくつろがせたまへり ねがはくは我をあはれみ わが祈をきゝたまへ
- 人の子よ なんぢらわが榮をはぢしめて幾何時をへんとするか なんぢらむなしき事をこのみ虛偽をしたひていくそのときを經んとするか セラ
- 然どなんぢら知れ ヱホバは神をうやまふ人をわかちて己につかしめたまひしことを われヱホバによばはらば聴たまはん
- なんぢら慎みをのゝきて罪ををかすなかれ 臥床にておのが心にかたりて黙せ セラ
- なんぢら義のそなへものを獻てヱホバに依賴め
- おほくの人はいふ たれか嘉事をわれらに見するものあらんやと ヱホバよねがはくは聖顏の光をわれらの上にのぼらせたまへ
- なんぢのわが心にあたへたまひし歡喜はかれらの穀物と酒との豐かなる時にまさりき
- われ安然にして臥またねぶらん ヱホバよわれを獨にて坦然にをらしむるものは汝なり
▲神が神の屬なる聖徒に對して爲し給ふ四の事記さる。
一、自由を與へ給ふ(一)──『なんぢ我をくつろがせたまへり』
二、敵又困難より別離れしめて幸福なる所に置き給ふ(三)──『ヱホバは神をうやまふ人をわかちて己につかしめたまひしことを』
三、喜樂を與へ給ふ(七)──『なんぢのわが心にあたへたまひし歡喜……』
四、護り給ふ(八)──『われ安然にして臥またねぶらん……』
▲二節に罪人の有樣記さる
(1) 『わが榮をはぢしめて』──神の聖榮を輕蔑す
(2) 『むなしき事をこのみ』──此世の果敢無きものを好む
(3) 『虛偽をしたひて』
斯る罪人に以下の四の事を勸めざる可らず。
(1) 『慎みをのゝきて』(四)──神の稜威と罪の恐ろしき結果とを考えて
(2) 『おのが心にかたりて黙せ』(四)──過去の罪につき、來世に於ける運命につき、現在における神との關係如何につきて靜に考へよ(コリント前書十一・卅一、廿八參照)
(3) 『義のそなへものを獻て』(五)──即ち眞に悔改めよ
(4) 『ヱホバに依賴め』(五)──或はキリストを信ぜよ
即ち以上の四は恐れよ、省みよ、悔改めよ、信ぜよ也。是罪人に勸むべき順序也。
▲本篇の中心の願は六節にある『ヱホバよねがはくは聖顏の光をわれらの上にのぼらせたまへ』にて、其結果は以下の三也。
一、歡喜(七)
二、平和(八始)
三、安全(八終)
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