第十四篇 題目 世に屬る人
うたのかみに謳はしめたるダビデのうた
- 愚なるものは心のうちに神なしといへり かれらは腐れたり かれらは憎むべき事をなせり 善をおこなふ者なし
- ヱホバ天より人の子をのぞみみて悟るもの神をたづぬる者ありやと見たまひしに
- みな逆きいでてことごとく腐れたり 善をなすものなし一人だになし
- 不義をおこなふ者はみな智覺なきか かれらは物くふごとくわが民をくらひ またヱホバをよぶことをせざるなり
- 視よかゝる時かれらは大におそれたり 神はたゞしきものの類のなかに在せばなり
- なんぢらは苦しめるものの謀略をあなどり辱かしむ されどヱホバはその避所なり
- ねがはくはシオンよりイスラエルの救のいでんことを ヱホバその民のとらはれたるを返したまふときヤコブはよろこびイスラエルは樂まん
▲本篇は世に屬る人を記し、次篇は神に屬る人を記す。世に屬る人は如何なる者なりや。
一、神をなしとする者(一始)──『愚なるものは心のうちに神なしといへり』
二、品性の腐れたる者(一中程)──『かれらは腐れたり』
三、惡き行をなす者(一終)──『かれらは憎むべき事をなせり』
四、神を慕はず(二、三)──『神をたづぬる者ありやと見たまひしに……一人だになし』
五、從ふ事をせず(三始)──『みな逆きいでて』
六、知識なし(四始)──『不義をおこなふ者はみな智覺なきか』
七、神を信ずる者を迫害す(四中程)──『かれらは物くふごとくわが民をくらひ』
八、祈禱をせず(四終)──『エホバをよぶことをせざるなり』
九、恐怖を抱く(五始)──『かれらは大におそれたり』
此は實に恐ろしき絵にあらずや。我等は祈禱を以て繰り返し之を讀み、之によりて罪人の有樣を知りて罪人の爲に重荷を負ふべし。斯てかゝる罪人をも救はゞ次篇にある如き神の人となる事あるべし。
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