第二十三篇 題目 善牧者
ダビデのうた
- ヱホバはわが牧者なり われ乏しきことあらじ
- ヱホバは我をみどりの野にふさせ いこひの水濱にともなひたまふ
- ヱホバはわが靈魂をいかし名のゆゑをもて我をたゞしき路にみちびき給ふ
- たとひわれ死のかげの谷をあゆむとも禍害をおそれじ なんぢ我とともに在せばなり なんぢの笞なんぢの杖われを慰む
- なんぢわが仇のまへに我がために筵をまうけ わが首にあぶらをそゝぎたまふ わが酒杯はあふるゝなり
- わが世にあらん限りはかならず恩惠と憐憫とわれにそひきたらん 我はとこしへにヱホバの宮にすまん
我等は廿二篇の經驗を受くべき者なりしが、主が我等の爲に其苦を受け給ひしが故に、我等は此廿三篇の幸福を受くる事を得るに至れり。
▲本篇の分解
(一〜三)凡ての惠與へらる
(四) 凡ての恐失せ去る
(五、六)凡ての願遂げらる
▲始の一段は牧者と一緖に居る羊を喩へて言表されたる經驗にて、終の一段は筵に與り居る客を喩へて言表されたる經驗なり。ヱホバは我牧者也と經驗することは幸福なり、然れどヱホバと共に筵に與ることは更に幸福にしてより貴き經驗なり。然ればいかにして第一の經驗より此第二の經驗に移る事を得るやといふに、死の蔭の谷(三節)を渡るにあり。即ち眞に十字架によりて罪に死ぬる事によりてのみ此貴き經驗に達する事を得。凡ての信者は皆本篇一節より三節迄を歌ふ事を得べし。然れど唯潔められ聖靈に滿されし者のみよく五、六節を歌ふ事を得る也。
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