第四十一篇 題目 同情ある者の受くる惠
うたのかみに謳はしめたるダビデのうた
- よわき人をかへりみる者はさいはひなり ヱホバ斯るものを禍ひの日にたすけたまはん
- ヱホバ之をまもり之をながらへしめたまはん かれはこの地にありて福祉をえん なんぢ彼をその仇ののぞみにまかせて付したまふなかれ
- ヱホバは彼がわづらひの床にあるをたすけ給はん なんぢかれが病るときその衾裯をしきかへたまはん
- 我いへらくヱホバよわれを憐みわがたましひを醫したまへ われ汝にむかひて罪ををかしたりと
- わが仇われをそしりていへり 彼いづれのときに死いづれのときにその名ほろびんと
- かれ又われを見んとてきたるときは虛偽をかたり邪曲をその心にあつめ 外にいでてはこれを述ぶ
- すべてわれをにくむもの互ひにさゝやき我をそこなはんとて相謀る
- かつ云ふ かれに一のわざはひつきまとひたれば仆れふしてふたゝび起ることなからんと
- わが恃みしところ わが糧をくらひしところのわが親しき友さへも我にそむきてその踵をあげたり
- 然はあれどヱホバよ汝ねがはくは我をあはれみ我をたすけて起したまへ されば我かれらに報ることをえん
- わが仇われに打勝てよろこぶこと能はざるをもて汝がわれを愛いつくしみたまふを我しりぬ
- わが事をいはゞ なんぢ我をわが完全うちにてたもち我をとこしへに面のまへに置たまふ
- イスラエルの神ヱホバはとこしへより永遠までほむべきかな アーメン アーメン
▲本篇の分解
(一〜三)神の惠を仰ぎ
(四〜九)周圍にある敵を見
(十〜十三)神を信ず
▲第一段の中に同情ある者の受くる六の恩惠記さる。
一、禍より救はる(一)──『よわき人をかへりみる者はさいはひなり ヱホバ斯るものを禍ひの日にたすけたまはん』
二、神に護らる(二始)──『ヱホバ之をまもり之をながらへしめたまはん』
三、此世に於ても福祉を受く(二中程)──『かれはこの地にありて福祉をえん』
四、敵より救はる(二終)──『なんぢ彼をその仇ののぞみにまかせて付したまふなかれ』
五、弱りたる時强めらる(三始)──『ヱホバは彼が弱り衰へて床にある時强めたまはん』(英譯による)
六、試みらるゝ時慰めらる(三終)──『なんぢかれが病るときその衾裯をしきかへたまはん』
▲第二段に於て敵の事を樣々に言はる。
『わが仇』(五)
我が訪問客(六)──『かれ又われを見んとてきたる』
『われをにくむもの』(七)
『わが親しき友』なりし者(九)
▲九節迄に敵の事を記せしが十節の始に
『然はあれどヱホバよ……』
と神を仰ぎて祈れり。是ぞ信仰の態度なれ。即ち聖徒の慰藉は
一、神を仰ぐ事(十)──『然はあれどエホバよ汝ねがはくは我をあはれみ我をたすけて起したまへ』
二、敵に打勝つ事(十一)──『わが仇われに打勝てよろこぶこと能はざるをもて……』
三、神の力に保たるゝ事(十二始)──『なんぢ我をわが完全うちにてたもち』
四、堅き望(十二終)──『我をとこしへに面のまへに置たまふ』
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