第五十六篇
ダビデがガテにてペリシテ人にとらへられしとき詠て
「遠きところにをる音をたてぬ鴿」のしらべにあはせて伶長にうたはしめたる
ミクタムの歌
- あゝ神よ ねがはくは我をあはれみたまへ 人いきまきて我をのまんとし終日たゝかひて我をしへたぐ
- わが仇ひねもす急喘てわれをのまんとす 誇りたかぶりて我とたゝかふものおほし
- われおそるゝときは汝によりたのまん
- われ神によりてその聖言をほめまつらん われ神に依賴みたればおそるゝことあらじ 肉體われになにをなし得んや
- かれらは終日わがことばを曲るなり その思念はことごとくわれにわざはひをなす
- かれらは群つどひて身をひそめ わが步に目をとめてわが靈魂をうかゞひもとむ
- かれらは不義をもてのがれんとおもへり 神よねがはくは憤ほりてもろもろの民をたふしたまへ
- 汝わがあまたゝびの流離をかぞへたまへり なんぢの革嚢にわが淚をたくはへたまへ こは皆なんぢの冊にしるしあるにあらずや
- わがよびもとむる日にはわが仇しりぞかん われ神のわれを守りたまふことを知る
- われ神によりてその聖言をほめまつらん 我ヱホバによりてそのみことばを讃まつらん
- われ神によりたのみたれば懼るゝことあらじ 人はわれに何をなしえんや
- 神よわがなんぢにたてし誓はわれをまとへり われ感謝のさゝげものを汝にさゝげん
- 汝わがたましひを死よりすくひたまへばなり なんぢ我をたふさじとわが足をまもり生命の光のうちにて神のまへに我をあゆませ給ひしにあらずや
▲本篇の分解
(一〜七)人の行
(八〜十三)神の行
▲十三節に三重の救あり。
一、死(即ち滅亡)より救はる──『汝わがたましひを死よりすくひ』=更生の經驗
二、罪の力より救はる──『なんぢ我をたふさじとわが足をまもり』=聖潔の經驗
三、神の光の中を步ましむ──『生命の光のうちにて神のまへに我をあゆませ』=聖靈に滿されし生涯
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