第七十篇 題目 急ぎ給へ
伶長にうたはしめたるダビデの記念のうた
- 神よねがはくは我をすくひたまへ ヱホバよ速きたりて我をたすけたまへ
- わが靈魂をたづぬるものの恥あわてんことを わが害はるゝをよろこぶものの後にしりぞきて恥をおはんことを
- あゝ視よや視よやといふもののおのが恥によりて後にしりぞかんことを
- すべて汝をたづねもとむる者のなんぢによりて樂みよろこばんことを なんぢの救をしたふもののつねに神は大なるかなととなへんことを
- われは苦しみ且ともし 神よいそぎて我にきたりたまへ 汝はわが助われを救ふものなり ヱホバよねがはくは猶豫たまふなかれ
本篇に Make haste(急ぎ給へ)或は之に類する言數度記さる。英譯には一節の最初にもあり。
『神よねがはくは(速きたりて)我をすくひたまへ
ヱホバよ速きたりて我をたすけたまへ』(一)
『神よいそぎて我にきたりたまへ……
ヱホバよねがはくは猶豫たまふなかれ』(五)
即ち四度神に對して急ぎ給はん事を督促す。斯る祈禱を捧ぐるは實に大膽なる事なり。然れど神は斯る遠慮なき大膽なる祈禱を喜び嘉し給ふ也。信仰ある者は常に斯る祈禱を捧ぐ。不信仰は今なるを要せざるも、信仰は常に今、急ぎ給へと祈る也。
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