第七十五篇 題目 惡に對する神の審判
「滅すなかれ」といふ調にあはせて伶長にうたはしめたるアサフの歌なり 讃美なり
- 神よわれら汝にかんしやす われら感謝す なんぢの名はちかく坐せばなり もろもろの人はなんぢの奇しき事跡をかたりあへり
- 定りたる期いたらば我なほき審判をなさん
- 地とすべての之にすむものと消去しとき我そのもろもろの柱をたてたり セラ
- われ誇れるものに誇りかにおこなふなかれといひ 惡きものに角をあぐるなかれといへり
- なんぢらの角をたかく擧るなかれ頸をかたくして高りいふなかれ
- 擧ることは東よりにあらず西よりにあらず また南よりにもあらざるなり
- たゞ神のみ審士にましませば此をさげ彼をあげたまふ
- ヱホバの手にさかづきありて酒あわだてり その中にものまじりてみつ 神これをそゝぎいだせり 誠にその滓は地のすべてのあしき者しぼりて飮むべし
- されど我はヤコブの神をのべつたへん とこしへに讃うたはん
- われ惡きもののすべての角をきりはなたん 義きものの角はあげらるべし
前篇十節に『神よ敵はいくその時をふるまでそしるや』とありしが、本篇に於て其答記さる。即ち神は現在に於ても必ず惡を審き給ふ事記さる。前篇に神が起ちて働き給はん事を祈りしが、本篇に於て神は其に答へて最早罪を審く事を始め給ひし事を知る。
▲本篇の要點は以下の如し。
一、信仰を以て神に感謝す(一)
苦めらるゝ時其苦に目をつけず、目を擧げて神に感謝す
二、神御自身語り給ふ(二、三)
神は其感謝の中に聖聲をきかしめ給ふ。三節に我等が見る能はざる處に働き給へる事を語り給ひしが、其神は今にても其權力と勢力を伸し給ふ也。故に
三、罪人に謙るべき事を忠告す(四〜六)
四、神の審判を宣言す(七〜十)
1.惡しき者には苦を與へ(八)
2.義しき者には慰藉を與へ給ふ(九)
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