第八十一篇



ギテトの琴にあはせて伶長うたのかみにうたはしめたるアサフのうた

  1. われらの力なる神にむかひてたからかにうたひ ヤコブの神にむかひてよろこびのこゑをあげよ
  2. 歌をうたひつゞみとよきのこととさうとをもちきたれ
  3. 新月と滿月とわれらの節會せちゑの日とにラッパをふきならせ
  4. これイスラエルの律法おきてヤコブのかみのさだめなり
  5. 神さきにエジプトをせめたまひしときヨセフのなかにこれをたててあかしとなしたまへり われかしこにていまだしらざりし方言ことばをきけり
  6. われかれの肩より重荷おもにをのぞき かれの手をかごよりまぬかれしめたり
  7. なんぢなやめるときよびしかばわれなんぢをすくへり われ雷鳴いかづちのかくれたるところにてなんぢにこたへメリバの水のほとりにてなんぢをこゝろみたり セラ
  8. わがたみよきけわれなんぢにあかしせん イスラエルよなんぢがわれに從はんことをもとむ
  9. なんぢのうちに他神あだしかみあるべからず なんぢ他神あだしかみををがむべからず
  10. われはエジプトの國よりなんぢをたづさへいでたるなんぢの神ヱホバなり なんぢの口をひろくあけよ われ物をみたしめん
  11. されどわがたみはわが聲にしたがはず イスラエルはわれをこのまず
  12. このゆゑにわれかれらが心のかたくななるにまかせ彼等がその任意こゝろまゝにゆくにまかせたり
  13. われはわがたみのわれに從ひイスラエルのわがみちにあゆまんことを求む
  14. さらばわれすみやかにかれらのあたをしたがへ わが手をかれらの敵にむけん
  15. かくてヱホバをにくみし者もかれらに從ひ かれらの時はとこしへにつゞかん
  16. 神はむぎの最嘉いとよきをもてかれらをやしなひ いはよりいでたるみつをもてなんぢをあかしむべし

 本篇における格別なることばは十節にて、このことばは本篇の主意なり。
 『われはエジプトの國よりなんぢをたづさへいでたるなんぢの神ヱホバなり なんぢの口をひろくあけよ われ物をみたしめん』
 (この九、十節は聖書の中央の節にて聖書はこゝにありといふも差支さしつかへなからん)
▲本篇の分解
 (一〜四)感謝
 (五〜七)神のすくひ
 (八〜十)神のすゝめ
 (十一、十二)神のなげき
 (十三〜十六)神のすゝめそれに從ふ結果
▲十一、十二節において神はイスラエルの不信仰の爲に御計畫通りの恩惠めぐみを與ふる事あたはざるを歎き給ふ。神は十四節以下にある如く以下のめぐみを備へ給ふがゆゑに十三節の如く神に從順ならん事を求め給ふなり
 從順なるべきすゝめ(十三)──『われはわが民のわれに從ひイスラエルのわが道にあゆまんことを求む』
その結果得られるべき恩惠めぐみ(十四〜十六)
一、勝利(十四)──『さらば我すみやかにかれらのあたをしたがへ わが手をかれらの敵にむけん』
二、罪人のすくひ(十五)──『かくてヱホバをにくみし者もかれらに從ひ かれらの時はとこしへにつゞかん』
三、あふるゝ程の恩惠めぐみ(十六)──『神はむぎの最嘉いとよきをもてかれらをやしなひ いはよりいでたる蜜をもてなんぢをあかしむべし』
 神は我等各自おのおのの爲にもこのつの恩惠めぐみを備へ給ふがゆゑに我等主に從順ならん事を。



| 目次 | 緖言 | 總目次 |