第百三十九篇 題目 我を探り給へ (廿三)
伶長にうたはしめたるダビデの歌
- ヱホバよなんぢは我をさぐり我をしりたまへり
- なんぢはわが坐るをも立をもしり 又とほくよりわが念をわきまへたまふ
- なんぢはわが步むをもわが臥をもさぐりいだし わがもろもろの途をことごとく知たまへり
- そはわが舌に一言ありとも 視よヱホバよなんぢことごとく知たまふ
- なんぢは前より後よりわれをかこみ わが上にその手をおき給へり
- かゝる知識はいとくすしくして我にすぐ また高くして及ぶことあたはず
- 我いづこにゆきてなんぢの聖靈をはなれんや われいづこに往てなんぢの前をのがれんや
- われ天にのぼるとも汝かしこにいまし われわが榻を陰府にまうくるとも 視よなんぢ彼處にいます
- 我あけぼのの翼をかりて海のはてにすむとも
- かしこにて尚なんぢの手われをみちびき 汝のみぎの手われをたもちたまはん
- 暗はかならず我をおほひ 我をかこめる光は夜とならんと我いふとも
- 汝のみまへには暗ものをかくすことなく 夜もひるのごとくに輝けり なんぢにはくらきも光もことなることなし
- 汝はわがはらわたをつくり又わがはゝの胎にわれを組成たまひたり
- われなんぢに感謝す われは畏るべく奇しくつくられたり なんぢの事跡はことごとくくすし わが靈魂はいとつばらに之をしれり
- われ隱れたるところにてつくられ 地の底所にて妙につゞりあはされしとき わが骨なんぢにかくるゝことなかりき
- わが體いまだ全からざるに なんぢの目ははやくより之をみ 日々かたちづくられしわが百體の一だにあらざりし時に ことごとくなんぢの册にしるされたり
- 神よなんぢのもろもろの思念はわれに寳きこといかばかりぞや そのみおもひの總計はいかに多きかな
- 我これを算へんとすれどもそのかずは沙よりもおほし われ眼さむるときも尚なんぢとともにをる
- 神よなんぢはかならず惡者をころし給はん されば血をながすものよ我をはなれされ
- かれらはあしき企圖をもて汝にさからひて言ふ なんぢの仇はみだりに聖名をとなふるなり
- ヱホバよわれは汝をにくむ者をにくむにあらずや なんぢに逆ひておこりたつものを厭ふにあらずや
- われ甚くかれらをにくみてわが仇とす
- 神よねがはくは我をさぐりて わが心をしり 我をこゝろみてわがもろもろの思念をしりたまへ
- ねがはくは我によこしまなる途のありやなしやを見て われを永遠のみちに導きたまへ
神よ我を探り給へとは僞善者の祈る能はざる處にして潔き忠信なる聖徒のみ祈り得る處なり。
▲本篇の分解
(一〜六)神は我が凡てを知り給ふ
我が起居動作をも(二始)
我が思念をも(二終)
我が行爲をも(三始)
我が休息をも(三始)
我が習慣をも(三終)
我が言語をも(四)
(七〜十二)神は常に我と偕に在し給ふ
(十三〜十六)我が生れざる前より神は知り給へり
(十七、十八)神の御計畫は貴し
(十九〜廿二)敵の事を訴ふ
(廿三、廿四)神に探られん事を祈り求む
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