新約全書 使徒パウロ ロマ人に贈れる書
第 五 章
- 是故に我儕信仰に由て義とせられたれば神と和ぐことを得たり 此は我主イエスキリストに賴てなり
- 亦われら彼により信仰によりて今居ところの恩に入ことを得かつ神の榮を望て欣喜をなす
- 第これ耳ならず患難にも欣喜をなせり 蓋患難は忍耐を生じ
- 忍耐は練達を生じ練達は希望を生じ
- 希望は羞を來らせざるを知 こは我儕に賜ふ所の聖靈に由て神の愛われらの心に灌漑ばなり
- 我儕なほ弱かりし時キリスト定りたる日に及て罪人のために死たまへり
- それ義人の爲に死るもの殆んど少なり 仁者の爲には死ることを厭ざる者もや有ん
- 然どキリストは我儕のなほ罪人たる時われらの爲に死たまへり 神は之によりて其愛を彰し給ふ
- 今その血に賴て我儕義とせられたれば况て彼に由て怒より救るゝ事なからん乎
- 若われら敵たりし時に其子の死によりて神に和ぐことを得たらんには况て和を得たる今その生るに賴て救るゝことを得ざらん乎
- たゞ此耳ならず我儕に和を得させ給ひし我主イエスキリストに賴て亦神を喜べり
- 然ば是一人より罪の世にいり罪より死の來り人みな罪を犯せば死の凡の人に及たるが如し
- 律法を立られし時より前に罪は世に有き 律法なくば罪は人に歸することなし
- 然どもアダムよりモーセに至るまでアダムの罪と等き罪を犯さゞりし者にも死は之に王たり アダムは即ち來らんとする者の模なり
- 然ど罪のことは恩賜のことの如きに非ず 若し一人の罪に由て死るもの多からば况て神の恩と一人のイエスキリストに由る恩の賜とは多の人に溢ざらん乎
- 賜は一人より來る罪の如きに非ず 蓋審判は一の罪より罪せられ賜は多の罪より義とせらるゝ也
- 若一人罪を犯しゝにより死この一人に由て王たらんには 况て溢るゝの恩と義の賜を受る者は一人のイエスキリストにより生に在て王たらざらん乎
- 是故に一の罪より罪せらるゝことの凡の人に及し如く一の義より義とせられ生命を獲ことも凡の人に及べり
- それ一人の逆に由て多く罪人とせられし如く一人の順に由て多く義とせらるべし
- 律法を立るは罪を增ん爲なり 然ども罪の增ところには恩も愈增り
- これ罪の死をもて宰れる如く恩も我儕が主イエスキリストに賴て永生に至らせんが爲に義をもて宰れり
| 新約全書目次 | 羅 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 總目次 |