耶 利 米 亞 哀 歌
第 四 章
- あゝ黃金は光をうしなひ純金は色を變じ、聖所の石はもろもろの街衢の口に投すてられたり
- あゝ精金にも比ぶべきシオンの愛子等は陶噐師の手の作なる土の器のごとくに見做る
- 山犬さへも乳房をたれてその子に乳を哺す、然るにわが民の女は殘忍荒野の駝鳥のごとくなれり
- 乳哺兒の舌は渴きて上腭にひたと貼き、幼兒はパンをもとむるも擘てあたふる者なし
- 肥甘物をくらひ居し者はおちぶれて街衢にあり、紅の衣服にて育てられし者も今は塵堆を抱く
- 今我民の女のうくる愆の罰はソドムの罪の罰よりもおほいなり、ソドムは古昔人に手を加へらるゝことなくして瞬く間にほろぼされしなり
- わが民の中なる貴き人は從前には雪よりも皎潔に乳よりも白く、珊瑚よりも躰紅色にしてその形貎のうるはしきこと藍玉のごとくなりしが
- いまはその面くろきが上に黑く、街衢にあるとも人にしられず、その皮は骨にひたと貼き、乾きて枯木のごとくなれり
- 劍にて死る者は饑て死る者よりもさいはひなり、そは斯る者は田圃の產物の罄るによりて漸々におとろへゆき刺れし者のごとくに成ばなり
- わが民の女のほろぶる時には情愛ふかき婦女等さへも手づから己の子等を煮て食となせり
- ヱホバその憤恨をことごとく洩し烈しき怒をそゝぎたまひ、シオンに火をもやしてその基礎までも燒しめたまへり
- 地の諸王も世のもろもろの民もすべてヱルサレムの門に仇や敵の打いらんとは信ぜざりき
- 斯なりしはその預言者の罪により、その祭司の愆によれり かれらは即ち正しき者の血をその邑の中にながしたりき
- 今かれらは盲人のごとく街衢にさまよひ、身は血にて汚れをれば人その衣服にふるゝあたはず
- 人かれらにむかひて呼はり言ふ、去よ穢らはし、去れ、去れ、觸るなかれと、彼らはしり去て流離ば異邦人の中間にても人々また言ふ、彼らは此に寓るべからずと
- ヱホバ怒れる面をもてこれを散したまへり、再びこれを顧りみたまはじ、人々祭司の面をも尊とばず、長老をもあはれまざりき
- われらは賴まれぬ救援を望みて目つかれおとろふ、我らは俟ゐたりしが救拯をなすこと能はざる國人を待をりぬ
- 敵われらの脚をうかがへば我らはおのれの街衢をも歩くことあたはず、我らの終ちかづけり、我らの日つきたり、即ち我らの終きたりぬ
- われらを追ふものは天空ゆく鷲よりも迅し、山にて我らを追ひ、野に伏てわれらを伺がふ
- かの我らが鼻の氣息たる者 ヱホバに膏そゝがれたるものは陷阱にて執へられにき、是はわれらが異邦にありてもこの䕃に住んとおもひたりし者なり
- ウズの地に住むエドムの女よ悅び樂しめ、汝にもまたつひに杯めぐりゆかん、なんぢも醉て裸になるべし
- シオンの女よなんぢが愆の罰はをはれり、重ねてなんぢを擄へゆきたまはじ、エドムの女よ、なんぢの愆を罰したまはん、汝の罪を露はしたまはん
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