第 三 十 六 章



  1. エリフまた言語ことばつぎいは
  2. しばらくわれゆるわれなんぢに示すことあらん、なほ神のために言ふべき事あればなり
  3. われ廣くわが智識ちしきを取り われ造化主つくりぬし正義たゞしきせんとす
  4. わが言語ことば眞實まこと虛僞いつはりならず 知識の完全まったき者なんぢの前にあり
  5. よ 神は權能ちからある者にましませども何をも藐視いやしめたまはず、その了知さとり權能ちからおほいなり
  6. あしき者をいかおかず、艱難者なやめるもののために審判さばきを行ひたまふ
  7. たゞしき者に目を離さず、くらゐにある王等わうたちとゝもに永遠とこしへせしめててこれたふとくしたまふ
  8. もし彼ら鏈索くさりに繫がれ、艱難なやみの繩にかゝる時は
  9. 彼らの所行おこなひ愆尤とがとを示してそのおごれるをしら
  10. 彼らの耳をひらきてをしへいれしめ、かつ惡を離れて歸れよと彼らに命じたまふ
  11. もし彼らきゝしたがひてこれつかへなば繁昌さかえてその日を送り、樂しくその年をわたらん
  12. もしかれらきゝしたがはずば刀劍つるぎにて亡び、知識を得ずして死なん
  13. しかれども心の邪曲よこしまなる者等ものども忿怒いかりたくはへ、神にいましめらるゝとも祈ることを
  14. かれらは年わかくして死亡しにうせ、男娼なんしゃうとその生命いのちをひとしうせん
  15. 神は艱難者なやめるもの艱難なやみによりて救ひ、これが耳を虐遇しへたげによりて開きたまふ
  16. されば神またなんぢを狹きところよりいだして狹からぬ廣き所に移したまふあらん、しかしてなんぢの席につらぬる物はすべこえたる物ならん
  17. 今は惡人の鞫罰さばきなんぢの身にみてり、審判さばきと公義となんぢをとら
  18. なんぢ忿怒いかりに誘はれて嘲笑あざけりおちいらざるやうつゝしめよ 収贖あがなひおほいなるがためみづかあやまるなかれ
  19. なんぢの號叫さけびなんぢを艱難なやみうちよりいださんや、如何いかに力をつくすとも所益かひあらじ
  20. 世の人のそのところよりたゝるゝ其夜そのよを慕ふなかれ
  21. つゝしみて惡にかたむくなかれ、なんぢ艱難なやみよりもむしこれとらんとせり
  22. それ神はその權能ちからをもておほいなる事をしたまふ、たれかれのごとくに敎誨をしへたれんや
  23. たれかかれのためにそのみちを定めし者あらんや、たれかなんぢはあしき事をなせりと言ふことを得ん
  24. なんぢ神の御所爲みわざ讚歎ほめたゝふることを忘れざれ これ世の人の歌ひあがむる所なり
  25. 人みなこれあふる、遠きところより人これをたてまつるなり
  26. 神はおほいなる者にいまして我儕われらかれをしりたてまつらず、その御年みとしかずも計り知るべからず
  27. かれ水をこまかにしてひきあげたまへば霧のなかしたたりいでて雨となるに
  28. 雲これをふらせて人々の上に沛然ゆたかそゝぐなり
  29. たれかく雲の舒展ひろが所以ゆゑんまたその幕屋の響く所以ゆゑん了知さとらんや
  30. よ 彼その光明ひかり自己おのれ周圍まはりめぐらし、また海の底をもおほひたまひ
  31. これらをもてたみさばきまた是等これらをもて食物しょくもつ豐饒ゆたかに賜ひ
  32. 電光いなびかりをもてその兩手もろてを包み その電光いなびかりに命じて敵をうたしめたまふ
  33. その鳴聲なりおとかれをあらはし、家畜すらもかれの來ますを知らすなり


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