第六十三篇  題目 神を慕ふ者の幸福さいはひ



ユダの野にありしときによめるダビデのうた

  1. あゝ神よなんぢはわが神なり われせちになんぢをたづねもとむ 水なきかわきおとろへたる地にあるごとくわが靈魂たましひはかわきてなんぢをのぞみ わが肉體はなんぢをこひしたふ
  2. さきにもわれかくのごとく大權みちから榮光みさかえとをみんことをねがひ聖所せいじょにありて目をなんぢより離れしめざりき
  3. なんぢの仁慈いつくしみはいのちにもまされるゆゑにわが口唇くちびるはなんぢをほめまつらん
  4. かくわれはわがいくるあひだなんぢをいはひみなによりてわが手をあげん
  5. われとこにありてなんぢをおもひいでふくるまゝになんぢを深くおもはん時
  6. わがたましひはずゐあぶらとにてもてなさるゝごとくあくことをえ わが口はよろこびの口唇くちびるをもてなんぢをほめたゝへん
  7. そはなんぢわがたすけとなりたまひたればわれなんぢのつばさのかげにいりてよろこびたのしまん
  8. わがたましひはなんぢを慕追したひおふ みぎのみてはわれをさゝふるなり
  9. されどわがたましひをほろぼさんとて尋ねもとむるものは地のふかきところにゆき
  10. 又つるぎのにわたされ野犬のいぬるところとなるべし
  11. しかれども王は神をよろこばん 神によりてちかひをたつるものはみな誇ることをえん 虛偽いつはりをいふものの口はふさがるべければなり

▲本篇に過去現在及び將來の經驗記さる。
一、過去の經驗
 (1)神の榮光を見たり(二)──『さきにも我かくのごとく大權みちから榮光みさかえとをみんことをねがひ聖所にありて目をなんぢより離れしめざりき』
 (2)神のたすけを經驗せり(七)──『そはなんぢわがたすけとなりたまひたれば』
二、現在の經驗
 (1)神に信賴す(一)──『あゝ神よなんぢはわが神なり』
 (2)神を慕ひ追ふ(八)──『わがたましひはなんぢを慕追したひおふ』
三、未來の經驗
 (1)神をせつに尋ね求む(一)──『われせちになんぢをたづねもとめん』(英譯:early will I seek thee)
 (2)神をむ(三)──『わが口唇くちびるはなんぢをほめまつらん』(六節參照)
 (3)神に祈る(四)──『みなによりてわが手をあげん』(手を擧ぐるとは祈禱いのりの姿勢なり)
 (4)恩惠めぐみ滿みたさる(六)──『わがたましひはずゐあぶらとにてもてなさるゝごとくあくことをえん』
 以上の經驗こそペンテコステの經驗なれ。
▲本篇にあるみつ喜悅よろこびを見よ。
一、恩惠めぐみ滿みたされたるを喜ぶ(六)──『わがたましひはずゐあぶらとにてもてなさるゝごとくあくことをえ わが口はよろこび口唇くちびるをもてなんぢをほめたゝへん』
二、神の保護のうちに安全なるを喜ぶ(七)──『なんぢわがたすけとなりたまひたれば我なんぢのつばさのかげにいりよろこびたのしまん』
三、神御自身を喜ぶ(十一)──『しかれども王は神をよろこばん
 これロマ書五章みつ喜悅よろこびと對照せよ。
一、望みて喜ぶ()──『神の榮光を望みて喜ぶなり』
二、愛を感じて喜ぶ()──『しかのみならず患難をも喜ぶ』(五節まで續いて讀めば、患難のうちにありてさへ喜ぶは神の愛、我等の心に注ぐがゆゑなるを見る)
三、神御自身を喜ぶ(十一)──『しかのみならず……我らの主イエス・キリストにりて神を喜ぶなり』



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