新約全書使徒パウロ ヘブル人びとに贈おくれる書ふみ

第 四 章

1. 是故このゆゑに我儕われら畏おそるべし 其その安息やすみにいる約束は今も尚なほのこれども恐おそらくは亦また爾曹なんぢらのうち之これに及およばざるものあらん
2. 蓋そはわれらも彼等が如く福音を宣傳のべつたへられたり 惟たゞかれらが聞きゝし所の言ことばはその信仰劑まじらざりしが故ゆゑに聞きける者に益えきなかりき
3. 信ずる所の我儕われらは安息やすみに入いることを得うるなり 即すなはち言いひ給ひたるが如し 我われ怒いかれるとき誓ちかひて彼は我わが安息やすみに入いるべからずと云いへり 然しかれども地基よのもとゐを奠おきし時より其工そのわざはみな成なれり
4. そは或ある篇へんに七日なぬかについて左さの如く云いへり 神は第七日なぬかめに凡すべて其工そのわざを息やすめりと
5. 又この篇へんに彼等は我わが安息やすみに入いるべからずと云いへり
6. 然されば之これに入いるべき者あり 先に福音を傳つたへられたる者は信ぜざるに由よりて入いらざりし也なり
7. 是故このゆゑに多年ひさしきを經へて後のちまたダビデの書ふみに於おいて日を定さだめて今日けふと云いへり 前まへに云いひし如く今日けふもし其その聲を聽きかば爾曹なんぢら心を剛愎かたくなにする勿なかれ
8. 若もしヨシユア彼等を息やすませなば其そののち神は他ほかの日を言いはざるべし
9. 然されば安息やすみは神の民たみに遺のこれり
10. 既に安息やすみに入いりし者は神おのれの工わざを安息やすみし如く彼も其工そのわざを息やすめり
11. 是故このゆゑに彼等の如き不信仰に傚ならひて陷おちざるやう我儕われらこの安息やすみに入いらんことを黽勉はげむべし
12. その神の言ことばは活いきてかつ能ちからあり 兩刃もろはの劍つるぎよりも利とく氣いのちと魂たましひまた筋節ふしぶし骨髓まで刺とほし剖わかち心の念おもひと志意こゝろざしを鑒察みわくるものなり
13. また物として神の前に顯あらはれざるはなし 我儕われらが係かゝはれる者の眼めの前に凡すべてのもの裸にて露あらはる
    
    
14. 然されば我儕われらに雲霄そらを通りて昇りし大おほいなる祭司の長をさすなはち神の子イエスあり 故ゆゑに我儕われら信ずる所の敎をしへを固く持たもつべし
15. 蓋そはわれらが荏弱よわきを體恤おもひやること能あたはざる祭司の長をさは我儕われらに非あらず 彼は凡すべての事に我儕われらの如く誘いざなはれたれど罪を犯さざりき
16. 是故このゆゑに我儕われら恤あはれみをうけ機をりに合あふ助たすけとなる恩惠めぐみを受うけん爲ために憚はゞからずして恩寵めぐみの座に來きたるべし

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