今、再び、この小冊子を日本の霊界に送り出すことのできることを嬉しく思います。思い返せば、ちょうど、八年前、と言えば、それは終戦後
さて、内容は、初版の訳序にも紹介しておいたように、これは一九三一年六月、英国スウォニックにおける日本伝道隊年会でされたバックストン師の説教であります。最初の詩篇六十三篇からのメッセージは、最初の歓迎会のそれで、いわば、全会衆の心を備えるためのようであります。次のピリピ、コロサイは、集会の間に、他の講演に伍して述べられたものであります。一九三七年(昭和十二年)五月末、二十年ぶりに来朝された時の御講演は、『雪の如く白く』、『砂漠の大河』、『基督の形成るまで』及び『恩寵の成長』として世に送り出しています。(また、その後、『エホバの栄光』なる一冊子も出しました。)これは、年代は遡りますが、それらに続くものとしてお味わい下されば幸いに存じます。先生は、終戦の翌年二月、八十六歳の高齢をもって、天のホームに、永遠の生命に輝かしく入り逝かれたのでありますが、さすがに、栄光の中から声あって私共に語るような、このようなメッセージの手に入ることを感謝するものであります。
本書の題は、コロサイ書の主題を採りました。しかし、その霊解の冒頭、「この奥義の結果はホーリネスであります」と力説されるあたり、先生の面目躍如たるを思い、また、ピリピ書を結ぶにあたって、「ですから、皆様は、ここに、本当のホーリネスを有します」よ仰せられるところなど、先生の着眼点は、どこまでも、心と生活との聖潔であり、そして、これを弱い卑しい私共の上に、可能ならしめて余りある、偉大な栄光の救主イエス・キリストであることを痛感する者であります。
今や、先生の物の、おいおい知れ渡って来ている時、それらの尊い御遺著の中にあってこの一小冊子が、キリストの満ち足れる福音の救い潔むる能力の証人、また、指南として、私共の存する祖国に、その霊界に行き亘らんことを切に祈るものであります。満潮のように、基督教が祖国に漲り溢れると共に、その栄光輝く神の奥義なるキリストの福音の満ち足れる恩恵が、すべて主の名をもて称えられる者たちの心と生活とに入り行かんことを! かく祈りつつ、この第二版を送り出します。
昭和三十一年四月十七日
舞 子 に て
小 島 生