第十二篇  題目 助け給へ (二)



八音やつのねにあはせて伶長うたのかみにうたはしめたるダビデのうた

  1. あゝヱホバよ助けたまへ そは神をうやまふ人はたへまことあるものは人の子のなかより消失きえうするなり
  2. 人はみな虛偽いつはりをもてそのとなりとあひかたりなめらかなるくちびると貳心ふたごころとをもてものいふ
  3. ヱホバはすべてのなめらかなるくちびるとおほいなることをかたる舌とをほろぼし給はん
  4. かれらはいふ われら舌をもてかちをえん この口唇くちびるはわがものなり たれかわれらにしゅたらんやと
  5. ヱホバのたまはく 苦しむものかすめられ貧しきものなげくがゆゑにわれいまたちてこれをその慕ひもとむる平安やすきにおかん
  6. ヱホバのことばはきよきことばなり 地にまうけたるにてねり七次なゝたびきよめたる白銀しろかねのごとし
  7. ヱホバよなんぢはかれらをまもりこれをたすけてとこしへにこのたぐひより免れしめたまはん
  8. 人の子のなかにけがしきことのあがめらるゝときは惡者あしきものこゝやかしこにあるくなり

何故なにゆゑ神よ助け給へといふ祈禱いのりを捧ぐるか。
一、義者たゞしきものすくなきがゆゑに(一)──『神をうやまふ人はたえ誠あるものは人の子のなかより消失きえうするなり』(其爲そのために神のあきらかなるたすけくすしき御業みわざを祈り求めざるべからず)
二、いつはりへつらひと偽善流行するがゆゑに(二)──『人みな虛偽いつはりをもてその隣とあひかたりなめらかなるくちびると貳心ふたごゝろとをもてものいふ』
三、人は高ぶりておのれ依賴よりたのむがゆゑに(四)──『かれらはいふ われら舌をもてかちをえん この口唇くちびるはわがものなり たれかわれらに主たらんやと』
 以上のみつによりて今の世の有樣を知りて重荷を負ひ、神のたすけを祈るべきなりかゝ祈禱いのりを捧げなば五節にある如く神は答へ給ふなり(『我いまたちて』)。
一、神はあがり給ふ(五)──『我いまたちて』
二、神の約束は依賴よりたのむに足る価値ねうちあり(六)──『ヱホバのことばはきよきことばなり 地にまうけたるにてねり七次なゝたびきよめたる白銀しろかねのごとし』
 (日本銀行の兌換券だくゎんけんは金貨と同じ価値ねうちあり。これ日本銀行が信用すべき所なればなり。神の御言みことばその如くたふときものなりおろかなる者はそれを知らざれども、我等はこの約束の御言みことばに日銀の如き価値ねうちあるを知る。)
三、神の守護まもりは充分にて到れりつくせり(七)──『ヱホバよ汝はかれらをまもりこれをたすけてとこしへにこのたぐひより免れしめたまはん』
く本篇においてはづ世の有樣を見、次に神の約束を信じて『ヱホバよ助け給へ』と祈る。すなはち本篇はリバイバルの祈禱いのりなりとふべし。
▲二節と六節とを比較せよ。
 二節 は人のことば
 六節 は神のことば
なり。人は皆虛偽いつはりをいふも神のことばまことにしていさぎよし。
▲今まで詩篇に度々『ヱホバよ起き給へ』といふ祈禱いのりありき(三・七七・六九・十九十・十二)。
 しかして本篇五節の『我いまたちて』とあるは、以上よつ祈禱いのりこたへなり。



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