四  禱    告



 以上の祈りの時は主として神との交わり、また導きや恵みを求めるものでありました。それはそれで私共にとって結構であります。しかしここにはまた他の人々のための祈りと禱告とがありました。他の人々のために如何に祈るかを学ぶために、今この実例に向かいたいと思います。
 ヨハネ十七章は私共に与えられている主の祈りの長さでは随一の記録であります。ここにおいて主は過去と未来の両方の働きについて神と交わっておられます。過去のお働きについては七つの事柄を父に告げておられます。
 『わたしは‥‥‥あなたの栄光をあらわしました』(四節)
 『わたしは‥‥‥わざをなし遂げて』(四節)
 『わたしは‥‥‥み名をあらわしました』(六節)
 『わたしが‥‥‥彼らを守り』(十二節)
 『わたしは彼らに御言を与えました』(十四節)
 『わたしも彼らを世につかわしました』(十八節)
 『わたしは‥‥‥栄光を彼らにも与えました』(二十二節)
 私共も同じように神と過去を語り合いたいものです。
 それからご自身の者のために禱告して、四つのはっきりした懇求を献げられます。
 『彼らを守って下さい』(十一節)
 『彼らを聖別して下さい』(十七節)
 『みんなの者が一つとなるためであります』(二十一節)
 『人々が、わたしのいる所に一緒にいるようにして下さい』(二十四節)
 なお、福音書の他の所を見れば、この四つの禱告の他にもう三つがあります。
 ヨハネ十四章十六節には、主はその民が慰めを受けるために、父に禱告することを約束しておられます。
 マタイ九章三十八節には、収穫は多く働き人の少ないことを感じたまい、働き人のため祈ることをその民に訴えておられます。ですから疑いもなく主自らもそのことを願っておられました。
 今一つの禱告はルカ二十二章三十二節にあります。主はペテロのためにその信仰が絶えないように祈っておられますが、その祈りは答えられてペテロは救われております。
 疑いもなく主はこのほか、しばしば弟子たちの一人二人または数人を引き離しては彼らと共に祈り、また彼らのために祈られたことでしょう。そして彼らの特別な欠乏を神の御前に携えて来ては、恵みを彼らの上に持って下られたに相違ありません。
 以上の七つの祈願をあなたの禱告の手本として、信者や未信者や個人個人のためにお祈りなさい。
 どうぞ私共は人々のために祈ることをやめて彼らに罪を犯したくありません(サムエル上十二・二十三参照)。祈りは、私共が人々のためにする働きの大きい方の半分であります。熱き祈りは働いて大きな力があります。私共の周囲にある多くの人々の上に、御聖霊とそのお恵みを下らせる喜びを味わうことができるでしょう。



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