新 約 全 書 路 加るか 傳 福 音 書

第 二 十 一 章



  1. イエス目をあげとめる人々の捐輸をさめものを賽錢箱にいるるを見る
  2. 又あるまづし嫠婦やもめをんなのレプタふたついれたるを見ていひけるは
  3. われまこと爾曹なんぢらつげこのまづしやもめすべての者よりも多くいれたり
  4. そはかれらは皆羨餘あまりある所より捐輸をさめものを神にさゝげこのをんな不足ともしきところよりその所有しんだいことごとさゝげたればなり

  5. またある殿みや美石よきいし奉納物はうのうもの修飾かざれることをかたりしに
  6. イエスいひけるは 爾曹なんぢらの見る所のもの石を石の上にものこさくづさるゝ日いたらん
  7. 彼等とふていひけるは 師よ いづれの時この事あらん まさの事のきたらん時は如何いかなるしるしあり
  8. イエスいひけるは 爾曹なんぢらつゝしみてまどはさるゝ事なかれ そはおほくの者わが名をおかしきたりわれはキリストなり 時は近よれりといはされ爾曹なんぢら從ふなか
  9. 戰亂たゝかひみだれきくときおそるゝなか此等これらの事の先にあるやむを得ざることなり され末期をはりいますみやかならず
  10. いひけるは たみたみをせめ國は國をせめ
  11. 各處ところどころおほいなる地震、饑饉きゝん、疫病おこりまたおそるべき事とおほいなる休徵しるし天より現るべし
  12. この事より先に人々爾曹なんぢらとらくるしめ會堂およびひとやわたわが名のために王およびつかさの前に曳往ひきゆくべし
  13. されども爾曹なんぢらこの事にあふあかしなるなり
  14. ゆゑ爾曹なんぢらまづなにこたへんと思慮おもひはかるまじき事を心にさだめ
  15. そはすべて爾曹なんぢらあだする者の辨駁いひふせぎまた敵對もとることをなしえざるべき口とちゑとをわれなんぢらにあたへん
  16. 又なんぢら父母ちゝはゝ、兄弟、親戚、朋友等はういうなどよりわたされかつなんぢらのうちある者は殺さるべし
  17. 爾曹なんぢらわが名のために人々ににくまれん
  18. されども爾曹なんぢら首髪かみのけ一縷ひとすぢうしなはじ
  19. なんぢら忍耐たへしのびその生命いのちまったうせよ
  20. なんぢら軍勢にヱルサレムのかこまるゝを見なばそのほろびちかきにあるしれ
  21. その時ユダヤにをる者は山にのがれよ ヱルサレムにをる者はいで鄕下いなかをる者はヱルサレムにいるなかれ
  22. これ刑罰の日にしてしるされたる事のみなとげらるゝ日なり
  23. その日にははらみたる者と哺乳兒ちのみごある者はわざはひなるかな これ地におほいなるわざはひありていかりこのたみおよぶべければなり
  24. 人々刀刃つるぎのはたふまたとらはれて諸國にひかれヱルサレムは異邦人の時滿みつるまでは異邦人に蹂躙ふみあらさるべし
  25. また日月星ひつきほし異象しるしあるべし 地にては諸國の人かなしみ海と波との漰轟なりとゞろくより顚沛うろたへ
  26. 人々危懼おそれつゝ世界にきたらんとする事を俟惱まちなやむべし これ天の勢ひ震動しんどうすべければなり
  27. その時人々は人の子の權威とおほいなる榮光をて雲に乗來のりきたるを見るべし
  28. 此等これらの事の成初なりはじめん時にはおき爾曹なんぢらかうべあげそはなんぢらのすくひちかづけばなり
  29. イエスたとへを彼等にかたりけるは 無花果いちじくすべてを見よ
  30. 既にめざせ爾曹なんぢらこれを見てみづから夏ははやちかししる
  31. かくの如く爾曹なんぢら此等これらの事なるを見ば神の國のちかきしれ
  32. まことわれなんぢらにつげこの事みななるまではこの世はすぎざるべし
  33. 天地はすたるべし されどもわがことばすたべからず
  34. 爾曹なんぢらみづからをつゝしめおそらくは飮食いんしょくふけ世事よのことまとは爾曹なんぢらの心昏迷にぶくなりておもひよらざる時にこの日なんぢらにのぞま
  35. これ機檻わなの如くあまねく地の上にすむ者に臨むべし
  36. 是故このゆゑ爾曹なんぢら敞醒つゝしみこののぞまんとするすべての事をのがれまた人の子の前に立得たちうるやうに常に祈れ
  37. イエスひる殿みやにて敎へよるいで橄欖かんらんいへる山に宿やどり
  38. たみみな彼にきかんとて朝はやく殿みやきたれり


| 新約全書目次 | 路 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 |
| 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 總目次 |