救 霊 の 動 力

パゼット・ウィルクス著
沢  村  五  郎訳


THE DYNAMICS OF SERVICE

BY ALPHAEUS NELSON PAGET WILKES


序  文



 この書は、全世界至るところにおいて、神の民のために測り難きほどの大きい祝福となりました。この書は、神の民に人々の霊魂をキリストに導くことの特権と、責任とを教え、そうして聖霊の力によって、いかにしてその仕事をなすべきかを明らかにしました。
 わたしは、この書が翻訳せられ、日本の主にある兄弟姉妹に、自らの霊性のためにも、またその周囲にある滅びつつある霊魂を導くためにも、大いなる益を与えるに至ったことを深く喜びます。わたしは、あなたがたが、この書を祈り深く読まれるよう祈ります。神は、この書を通してあなたに語りたまいますから、それを聞きそこねないようにおつとめなさい。そうしてそれにお従いなさい。
 神は、この書を用いて、日本の全教会に信仰の復興を与えたもう御心でしょう。それによって、今は世になきウィルクス氏は、死ぬれども今なお日本の信者がたに語り続けることを信じます。
 一九三五・一〇・二四
                      バークレー・エフ・バックストン



訳 者 の 序 文



 ウィルクス氏はきわめて優秀な頭脳と心霊を所有者で、オックスフォード大学においては、文科の優待生であった。その将来は大いに嘱目されていたのであるが、断然いっさいを捨てて主の召しに応じ、以来そのすぐれた材幹の全部を、聖書の研究と救霊のわざとに傾倒せられた。氏の聖書講解には独得の妙趣があり、その著書は世界的に読まれている。しかしその最大の特長は、霊魂の熱愛者、また救霊の成功者であることであった。氏は救霊のためには実に勤勉であった。旅行の途中においても、だれかの魂を導いておられる。接する人に福音を伝えずにはいられぬ。ときには長期間の特別集会より帰って『一週間ばかりぐっすり寝たい』と言っていられるかと思えば、午後の散歩の時間には路傍伝道の一群にまじって福音を伝えておられる。そうして一度導いた魂は決してこれを忘れず、その救いを全うするまでは祈り続けられる。氏はご自分の臨終の床においてさえも看護婦を救いに導かれたとのことである。氏によって導かれた魂は多く、その中には有力な伝道者も少なくない。
 この書は、このような絶えざる活動のうちにあって体得せられた秘訣の公開である。単なる机上の研究でない。その生涯の証であり、血と肉との記録である。この書の中に記されたる真理はすべて試験済みのものである。氏は事実、かくのごとくにして多くの魂を導かれたのである。この書が多くの人々に強く訴えるところはそこにある。この書が原文において多くの版を重ね、各所において宣教師たちの教科書として用いられていることは決して偶然のことではない。ことに氏はその貴重なる生涯の全部を日本のために捧げられた。わが国の霊界は同氏に負うところ極めて大である。
 願わくはこの書が、多くの人々の心に救霊の熱情をよび起し、その術を教え、救霊のリバイバルともなり、神の御経綸が速やかに進められ、栄えの日の一日もすみやかにせられんことを希望してやまない。

 昭 和 十 年 四 月
                               訳  者



目  次


 
 第一章  大いなる任命
 第二章  人間の診察──その願い
 第三章  人間の診察──その理解力
 第四章  人間の診察──その意志
 第五章  職務と証言
 第六章  任   命
 第七章  必要を知ること
 第八章  罪を知ること
 第九章  真理の最小限
 第十章  わざの最小限
 第十一章 救   い
 第十二章 偶 像 礼 拝
 第十三章 模範的実例
 第十四章 結   論  


| 目次 | 序文 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 |