書

第 六 十 六 章



  1. ヱホバ如此かくいひたまふ、天はわがくらゐ 地はわが足凳あしだいなり、なんぢらがために如何いかなる家をたてんとするか 又いかなるところかわが休憩やすみとならん
  2. ヱホバ宣給のたまはわが手はあらゆる此等これらのものを造りてこれらの物ことごとく成れり われはたゞ苦しみまた心をいためがことばをおそれをのゝくものを顧みるなりと
  3. 牛をほふるものは人をころす者のごとく こひつじ犧牲いけにへとするものはいぬをくびりころす者のごとく 祭物そなへものをさゝぐるものはゐのこの血をさゝぐる者のごとく かうをたくものは偶像をほむる者のごとし 彼等はおのがみちをえらみ、その心ににくむべき者をたのしみとせり
  4. われもまた災禍わざはひをえらびて彼等にあたへ、そのおそるゝところの事をかれらに臨ましめん、そはわれよびしときこたふるものなくわれかたりしとききくことをせざりき、わが目にあしき事をおこなひ、わが好まざる事をえらみたればなり

  5. なんぢらヱホバのことばをおそれをのゝく者よ、ヱホバのことばをきけ、なんぢらの兄弟なんぢらを憎みなんぢらをわが名のために逐出おひいだしていふ ねがはくはヱホバその榮光をあらはして我儕われらになんぢらの歡喜よろこびを見せしめよと、されどかれらは恥をうけん
  6. 騷亂さわぎみだるるこゑまちよりきこえ聲ありて宮よりきこゆ はヱホバそのあだにむくいをなしたまふ聲なり
  7. シオンはうみのなやみをしらざるさきにうみ その劬勞くるしみきたらざるさきに男子なんしをうみいだせり
  8. がかゝる事をきゝしや、がかゝるたぐひをみしや ひとつの國はたゞ一日ひとひのくるしみにてなるべけんや、一つの國民くにびと一時ひとゝきにうまるべけんや、されどシオンはくるしむもなく、たゞちにその子輩こらをうめり
  9. ヱホバ言給いひたまはく、われうみにのぞましめしにいかでうまざらしめんや、なんぢの神いひたまはく、われはうましむる者なるにいかでたいをとざゝんや

  10. ヱルサレムを愛するものよ 皆かれとゝもに喜べ、かれのゆゑをもてたのしめ、かれのためにかなしめるものよ 皆かれとゝもに喜びたのしめ
  11. そはなんぢらをすふごとくヱルサレムの安慰なぐさめをうけてあくことを得ん、またをしぼるごとくそのゆたかなるさかえをうけておのづから心さわやかならん
  12. ヱホバ如此かくいひたまふ よ われかはのごとくかれに平康やすきをあたへみなぎるながれのごとく彼にもろもろの國のさかえをあたへん、しかして汝等なんぢらこれをすひ背におはれひざにおかれて樂しむべし
  13. 母のその子をなぐさむるごとくわれもなんぢらを慰めん、なんぢらはヱルサレムにて安慰なぐさめをうべし
  14. なんぢら見て心よろこばん、なんぢらの骨は若草のさかゆるごとくなるべし ヱホバの手はその僕等しもべらにあらはれ又そのあだをはげしくいかりたまはん
  15. よ ヱホバは火中ひのなかにあらはれてきたりたまふ、その車輦みくるまははやちのごとし はげしき威勢いきほひをもてそのいかりをもらし 火のほのほをもてそのせめをほどこし給はん
  16. ヱホバは火をもてつるぎをもてよろづの人をつみなひたまはん、ヱホバに刺殺さしころさるゝもの多かるべし
  17. ヱホバ宣給のたまはく、みづからをきよくし、みづからをわかちてそのにゆき、そのうちにある木のざうにしたがひゐのこしゝ けがれたる物およびねづみをくらふ者はみな共にたえうせん
  18. われかれらの作爲わざとかれらの思念おもひとをしれり、時きたらばもろもろの國民くにたみともろもろのやからとをあつめん、彼等きたりてわが榮光をみるべし
  19. われかれらのなかに一つの休徵しるしをたてゝのがれたる者をもろもろの國すなはちタルシゝ、よく弓をひくプル、ルデおよびトバル、ヤワン 又わが聲名きこえをきかず、わが榮光をみざるはるかなる諸島しまじまにつかはさん、彼等はわが榮光をもろもろの國にのべつたふべし
  20. ヱホバいひたまふ、かれらはイスラエルの子輩こらがきよきうつはにそなへものをもりてヱホバの家にたづさへきたるがごとく、なんぢらの兄弟をもろもろの國のなかよりたづさへてむまくるまかご駱駝らくだにのらしめ、わが聖山きよきやまヱルサレムにきたらせてヱホバの祭物そなへものとすべし
  21. ヱホバいひたまふ、われまた彼等のうちより人をえらびて祭司としレビびととせんと
  22. ヱホバ宣給のたまはく わが造らんとする新しき天とあたらしき地とわが前にながくとゞまる如くなんぢのすゑとなんぢの名はながくとゞまらん
  23. ヱホバいひたまふ 新月ごとに安息日あんそくにちごとによろづの人わが前にきたりて崇拜をがみをなさん
  24. かれらいでてわれにそむきたる人のかばねをみん、そのうじしなず、その火きえず、よろづの人にいみきらはるべし

以 賽 亞 書 終



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