雅 歌 霊 解


ビ・エフ・バックストン講述
米    田    豊筆記

バックストン記念霊交会



緒  言



一、本書は大正四年五月、有馬において開かれた日本伝道隊修養会においてバックストン先生が講じられた講義の筆記であります。

一、その時、他の集会との権衡上この講義をだんだん説教風にせられたのと、また一つには時が少ないために所々を飛ばして講義をせられたので、もっともこれは後より校閲の際多くのことを補われ、特に第四章全体および第七章の大半は全部補われたのですが、以上二つの理由のため、自然むらがあり、また始終一貫して一様でないことは免れません。

一、或る人より同師の講義は口語体を廃し簡潔なる文章に縮めたらどうかというお言葉もありましたが、同師を知れる多くの人が口語体はかえって同師の口吻を表して良いと言われるのと、ご自身がなるべく平易な口語体を好まれるのと、なお一つには要領を簡潔に縮めんとしてかえってつのめんとして牛を殺すようなことになってはと思い冗長の嫌いはありますが、不完全な用語や耳障りになる癖を直したほかなるべく蓄音機的に書いておきました。

一、書中、項目の区分は校閲の際同師自身つけられたのですが、目次中の各項中の梗概は私が読者の便宜を図って付け加えたものであります。

一、願わくは神が本書を祝して、その修養会の時多くの兄姉を恵みたもうたごとく、なおこの筆記によりても多くの兄姉を恵みて主との深き愛の交わりとペンテコステの恩恵めぐみに導きたまわんことを祈ります。

   大正四年六月
                       神戸にて
                         筆 記 者 誌



目  次



 総論  聖書の大意は神の愛──雅歌の教え──愛の階段──新郎新婦の愛──主を知ることの階段──雅歌を読む心得
 第一  くらに伴い入れられる(一・二〜四
   愛の兆を求む──他の喜楽にまさる主の愛──主の香膏においあぶらかおり──主ご自身を慕う──聖霊に引かれて走る──主のくらに携え入れられる──その結果は喜びと愛──また直き心すなわち聖潔──主の愛を味わう順序
 第二  かてを求む(一・五〜十四
   続いて養われる事を求む──新婦の美──そのために迫害を受く──己の心を守らざりし述懐──養いと安息を求む──面帕かおおおいある生涯──聖徒の足跡にしたがえ──真の牧者に近づけ──馬のごとき信者──主ご自身を求む──主の内住の結果は死と生命
 第三  酒宴の室の安息(一・十五二・七
   主は新婦の美を喜びたもう──新婦は主の美を見て喜ぶ──主との交わりの幸いにてまたうるわしく堅固なること──荊棘いばらの中の百合ゆり──林のの中の林檎りんご──酒宴の室における交わり──主の愛の旗──まず力づけられざるべからず──信仰の安息と保護──これが妨げられぬよう願う
 第四  甦りの生涯への召し(二・八〜十七
   甦りの主の聖声みこえ──隔てを飛び越えてきたりたもう主──ペンテコステの春の天気──おのれの家より起きて出できたれ──そこなう者を取り除く──主と一つとなる
 第五  キリストを求むる熱心(三・一〜五
   ず主に求めらる──故に主を求む──熱心に力を尽して求めずば得ず──集会にて求め──伝道者について求む──(如何なる人が苦しめる魂を助け得るや)──主に遇う──教会に伴い行く
 第六  甦りの力による生涯(三・六〜十一
   神の御臨在を表す生涯──甦りの主の力に頼りて送る生涯──神の力に護らるる生涯──主のかんむりたる信者──主に引かれてこの生涯に入れ
 第七  キリストに似ること(四・一〜七
   神が恵みたもう目的──キリストに似るは主がうちに働きたもうによる──聖言みことばによりてその恵みを受く──美麗極まる──新婦はなよめの美の七つの点──(目、髪、歯、唇、頬、頸項、乳房)──恵みの原因は十字架
 第八  天の処(四・八五・一
   主は新婦におのれに伴わんことを求めたもう──いただきよりこの世を望むために──「わが新婦はなよめよ」──新婦はなよめの信仰、服従、愛、生涯、ことばのために喜びたもう──主のため新しきエデンの園また泉なる信者──聖霊の感化を求む──主の御臨在を求めて答えらる
 第九  主の苦しみにあずかる生涯(五・二〜五
   恵まれしのちの惰眠──戸外よりの懇ろなる主の声──悲哀の人と共に地の処を経験せよ──新婦はなよめ新郎はなむこの犠牲の心をいだかざるべからず──人を救う道は死の道なり──F. B. マイヤーの経験──申訳もうしわけことば──申訳もうしわけの起こる原因は恐怖──急行列車運転士の例──主が我らの心を動かさんとしたもう道──ユダとペテロに対して──死を負う心をもて主を迎え入れんとす──アフリカに宣教師としていて死せる青年の例──決死の覚悟をもてアフリカに行きし他の青年──主の再臨後十字架を負うおりなし──或る英国士官の懺悔
 第十  聖霊のバプテスマ(五・六六・十二
   チャールス・ウェスレーがジョン・ウェスレーに言いしことば──神の戦争なる信者──昔の軍隊の三つの階段──エリシヤの乗りし火の車──使徒行伝における例──世界の伝道に最も必要なるものにつきモット氏のことば──悲哀の人に戸をひらけ──我もし死ぬべくば死ぬべし──すぐにひらかざればのちに苦しんで主を求めざるべからず──伝道者に尋ねてもかえって苦しみを増す──信者に尋ぬる時しゅの美をあかしす──何処に主を離れしかを懺悔す──「其處迄そこまで從ふあたはず」──十字架の道は幸福さいわいの道──A. ビアールの例──悲哀の人に帰れ──この主と一致して初めの恵みに帰る──武士のごとき信者──聖書の中に聖霊のを調ぶ──軍車いくさぐるまのごとき信者とせらる
 第十一  奉仕のための武装(六・十三七・九
   低き信者は新婦はなよめに帰れと招く──新婦はなよめの整えたる美
 第十二  全き愛(七・十及び八・六、七
   霊的結婚──主のもの──面帕かおおおいなくして新郎はなむこを知る──パウロの祈禱いのり──愛の特質──一、この世より離して全くおのれの所有とす──二、世のいざないより守らる──三、如何なる妨害にも消されず──エリヤの祭物そなえものを焼きし天火──ロマ書八章のパウロ──四、この愛は買うを得ず全く賜物なり──燃ゆるセラピム──火は他に移るもの──全き愛を受けしや
 第十三  愛にりて労する働き(七・十一八・十二
   主の招きと約束──罪人つみびとを導くことを──熟せざる信者のための祈ることを──主は栄光を──我等は報いを
 第十四  終わりの声(八・六十三、十四
   一、信仰の声(我をおぼえたまえ)──我等に祭司のおさあり──二、愛の声(祈れよ)──三、望みの声(主よきたりたまえ)──主の再臨近し

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