第 五 回 (三月二日午後六時卅分開會)

約 束 の 地

バックストン敎師講演



 これよりみれば彼等がいることを得ざりしは不信によりてなり 是故このゆゑ我儕われらおそるべし その安息やすみにいる約束は今もなほのこれどもおそらくはまた爾曹なんぢらのうちこれおよばざる者あらん そはわれらも彼等が如く福音を宣傳のべつたへられたり たゞかれらがきゝし所のことばはその信仰まじらざりしがゆゑきける者にえきなかりき 信ずる所の我儕われら安息やすみいることをうるなり すなはいひ給ひたるが如し われいかれるときちかひて彼は安息やすみいるべからずといへり (希伯來ヘブル書三章十九節より四章三節


 今晩の集会あつまりは誠に大切なる集会あつまりであると思います。今まで神は私共を四度よたびこのところに集わせたまいまして、私共の目の前にうるわしきめぐみを示し、また御約束おんやくそくを示したまいました。神は私共にきよめの約束、聖霊の約束、溢るるほどのめぐみの約束を示したまいました。種々なる方法をもって私共に愛の勧めをなしたまいました。神は実にいま私共を導きて、めぐみの地の入口に立たせたまいます。おおあなたはどういたしますか。今晩その地にはいりますか、またこれを断りますか。神のめぐみを受けれますか、また神に逆らいますか。あなたはいずれを撰びましょうか。おお今晩の集会あつまりは実に大切なる集会あつまりでございます。

 皆様も御存じの通り、昔イスラエルの人々もちょうどこれと同じように、神のみてに導かれて荒野あれのを通り、めぐみの地の入口いりくちにまで参りました。そうして神はそのところにおいてその人々のために聖別会を開きたまいました。彼等は信仰をもって神の約束の地にはいるか、或いはその地を断るかという問題に接しましたが、災いなるかな、彼等はついめぐみの地にはいることを断りました。神の与えんとなしたもうめぐみを拒んで受けませんでした。しかしながら、ユダヤびとは初めからその地を望まなかったのであるかというに、決してそうではありません。彼らは神の大能たいのうによってエジプトより救いいだされ、カナンの地の幸福を望んで喜楽よろこびをもって長き旅行をいたしました。そうしてその地はただ当時のユダヤびとの望みなりしのみならず、実に神がその先祖たちに約束したまいしところにして、彼等の只管ひたすら望みたるところであります。実にその地にることはアブラハムの望み、イサクの望み、ヤコブの望み、ヨセフの望み、またすべての先祖たちの大いに待ち望みたるところでございます。ユダヤびとはそういう希望と喜楽よろこびをもってカナンに向かって旅行しました。けれども、その日その時に至り、神はちょうどその地の入口いりくちにまで導きたもうて彼等を聖別したまいましたが、災いなるかな、彼等は信仰をもってきよめを得てそのうるわしき地にはいることを拒み、神のめぐみを断りました。おお実に彼等はせっかく長きあいだの旅行をなしてその目的の地の入口いりくちにまで達しましたが、ついに不信仰のために全くその地を断りました。

 おお兄弟姉妹よ、神は今晩、私共をちょうどそれと同じ立場に立たしめたまいました。神は私共をエジプトより救いいだしたまいました。また私共を約束の地に入らしめんとて今日こんにちまで豊かに導きたまいました。しかして私共は喜楽よろこびをもってエジプトを去り、希望のぞみをもって神の導きたもうままに今日こんにちまで旅行しました。私共はいつでも心のきよめられんことを願い、聖霊に満たされんことを祈りました。おお神は今晩、私共にこのめぐみを与えんとてその地の入口いりくちにまで導きたまいました。

 けれどもその時ユダヤびとはどういうことをいたしましたかなれば、めぐみの地の入口いりくちより十二人の探偵を遣わし、カナンの地を偵察せしめ、その地の誠にうるわしきことを知りました。けれどもまたそれと同時に、その地に多くの敵のあることをも知りました。そこで彼等は申しました、その地はいかにもうるわしくして我がものといたしたいが、敵が如何いかにも強そうであるから私共はこれに打ち勝つことができぬと。しかしその探偵のうちの二人の者は、その地は誠にうるわしきところである、また神は常に我等とともなりたもうから、たとい敵が多く住むとも神は必ずその敵を亡ぼしその地を我等に与えたもうと申しましたが、ユダヤびとはそのことばを用いず、ただその敵を恐れてついにその地を断りました。それゆえに彼等は長きあいだ荒野あれのにさまよい、また多くの者は亡ぼされたのでございます。

 おお兄弟姉妹よ、あなたはめぐみの地のうるわしきことがよく分かりましょう。神の殿みやとなることは必ずうるわしきめぐみです。罪に勝つちからを得ることは実に喜ばしきことでございます。しゅに明らかにお目にかかることは真実ほんとううるわしき経験でございます。あなたはそのめぐみ、その経験を受けとうございますか。あなたはこれをることができると信じますか。神は確かにこのめぐみを与えんとの約束をなしたまいました。けれども私共の敵が強うございますから私共はこのめぐみを取ることができぬと思う者はありませんか。おお神は私共にこの大いなるめぐみを与えたまいとうございます。また神は私共にこのめぐみを与えんとてこの地の入口いりくちにまで導きたまいました。どれほど敵が強うございましても神が敵に打ち勝ちたまいますから私共は確かに溢るるめぐみを頂戴することができます。おお実に神はこのことをなしたもうことができます。私共は今晩そのうるわしき地にはいることができます。神は今晩、私共を安息やすみに入れたまいとうございます。

 今まであなたは何故なにゆえに敵を恐れましたか。またあなたはどういう敵を恐れましたか。あなたは今まで度々罪を犯しましたからこれからもまた同じように罪を犯すであろうと恐れますか。またあなたは心の頑固かたくななる者であるから、また不信仰なる者であるから、一度いちどこのめぐみを頂戴しても長くこれを保つことができぬであろうと恐れますか。またあなたはいま身もたましいも全く神に献げましても、誠に心が弱うございますから、いつまでもこれを続くることができぬだろうと恐れますか。おお兄弟姉妹よ、どうぞそういう敵を恐れますな。そういう悪魔の誘惑に勝ちを得よ。神は私共に聖霊を与えんと約束したまいましたから、私共はその約束の聖霊を受くれば誰でも敵に勝つことができます。悪魔に打ち勝つことができます。おお、できます。実に幸いなることであります。ハレルヤ、今晩このめぐみを頂戴することができます。おおどうぞ今晩、信仰の勝ちを得てこのうるわしきめぐみを受けよ。

 神はまたイスラエルびとに今一度めぐみ機会おりを与えたまいました。すなわちカナンの地の入口いりくち、ヨルダン川のほとりにおいてかく仰せたまいました。どうぞヨシュア記三章五節をご覧なさい。

 ヨシュアまたたみに言ふ なんぢら身をきよめよ ヱホバ明日あすなんぢらのなかたえなるわざを行ひたまふべしと

 汝ら身を潔めよ……おお神は今晩私共をしてヨルダン川を渡らしめ、約束の地を得させんと仰せたまいます。どうぞ心に準備そなえせよ。神なんじらのうちたえなるわざを行いたもうべし。その時イスラエルびとの前には実に妨げが多くございました。必ず以前まえと同様に約束のカナンの地には敵が多くございました。またその敵は誠に強うございました。けれどもヨシュアは信仰をもってイスラエルびとに勧めました。なんじら身をきよめよ、ヱホバ明日あすなんじらのなかたえなるわざを行いたもうべし、明日あすこの地をなんじらに与えたもうべしと。しかのみならずその地とユダヤびととの間にはヨルダン川が溢れております。けれどもヨシュアは、神にさえ従えば神は必ず不思議なる聖業みわざをもってこの河を渡らしめたもうと信じましたから、少しも疑うことなくすべてのたみに向かい、ヱホバ明日あすなんじらのなかたえなるわざを行いたもうべしと申しました。そうであるからユダヤびとはヨシュアの勧めに従い、その地を取ることの準備そなえをしました。また翌日朝早くでてカナンに向かいて進みました。しかしてヨルダン川に至り、はこける祭司等が足を水に踏み込みたる時、流れ下る水とどまりて遙かに遠きところまでれ、河のなか大路おおじが備わり、すべてのたみは信仰の歌をうたうてヨルダンを渡り、カナンの地に進み入ることができました。実に彼等は信仰をもってこの大いなる妨げに打ち勝ち、約束の地にはいることができました。

 おお兄弟姉妹よ、あなたは今晩、この神のちからにより、信仰をもってすべての妨げに打ち勝ちめぐみの地にはいることができませんか。悪魔の妨げ、肉慾の妨げ、朋友ともだちの妨げ、社会の妨げ、そのほかいかなる妨害さまたげがありましても、どうぞ今晩信仰をもってそのヨルダン川を渡れよ。おおどうぞ信仰をもってそのすべての妨害さまたげに打ち勝ち、今晩神の約束を取れよ。どうぞ今晩、信仰をもって神の与えんと望みたもう大いなるめぐみを得よ。おお神は今晩この集会あつまりに臨みたまいました。今あなたに近づきたまいます。神はあなたに今晩大いなるめぐみを与えたまいとうございます。如何いかがですか。あなたは今晩、不信をもって神のめぐみを拒みますか。このうるわしき地を断りますか。またはあなたは信仰をもってヨルダンを渡り、約束の地を受けますか。おお神は今あなたにこのことを尋ねたまいます。あなたは何と答えますか。おおどうぞ今晩、信仰の勝ちを得よ。信仰をもってこの大いなるめぐみを得たりと信じて感謝せよ。おおどうぞ今晩、神の約束の地にれよ。



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