結  論 



 ヨハネ伝の終わりにおいて、しゅが昇天なしたまいしことについてしるされてありません。ほかの三福音の終わりには、昇天なしたもうたる主を見ます。けれどもヨハネ伝においてただ復活よみがえりの主を見ます。復活よみがえりのち弟子と共にありて、この地上を歩みたもうたる主を見ます。聖霊はヨハネをもって最後にそのことを私共わたくしどもに見せしめたまいとうございます。復活よみがえりの主は不断たえず私共と共に歩みたまいます。この福音書の終わりに、主が進みたもうてまたペテロとヨハネは主に従うことを見ます。私共も主に従いましょうか。父の家に至るまで主に従いましょうか。この附録なる二十一章の教えに従いまして、或いは働きをもって、或いはこひつじうことをもって、或いは十字架を負うことをもって、或いは主の再臨をち望むことをもって、主に従いましょうか。この二十一章の主は真実ほんとうに昇天の主です。天のうち地の上すべての権をちていたもう主です。この章において地の上に主を見ます。けれども天の宝位くらいに坐したもう主と同じものです。おお兄弟よ、この栄光の主は私共と共にあり、私共とともに働きたもうことを見とうございます。またそれを見まして十字架を負うて主に従いとうございます。これはヨハネ伝における聖霊の最後の教訓です。

約翰傳講義 終



明治三十三年三月廿一日印刷
明治三十三年三月廿四日發行

   定價金七拾五錢

   著作權所有

發行者 東京市京橋區竹川町十五番地
      中 川 藤 次 郞
著 者 出雲國松江市北堀赤山
      ビー、エフ、バックストン
発行所 東京市京橋區竹川町十五番地
      日本聖公會出版社
印刷者 東京市日本橋區兜町二番地
      星 野 諤 次 郞
印刷所 東京市日本橋區兜町二番地
      東京印刷株式會社


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