信仰による祈りは、病気の人を救い、主はその人を起き上がらせてくださいます。
その人が罪を犯しているのであれば、主は赦してくださいます。
それゆえ、癒やされるように、互いに落ち度を告白し、互いのために祈りなさい。
正しい人の祈りは、大いに力があり、効果があります。
(ヤコブ5:15-16)
聖書のほかの箇所でもそうであるが、上に引用した箇所でも、罪の赦しと病の癒やしとが密接に結び付けられている。ヤコブは、罪の赦免は癒やしとともに与えられると述べ、それゆえ罪の告白には癒やしを求める祈りが伴うべきだと考えている。神から公式に罪の赦しを得るためには罪の告白が不可欠であることを私たちは知っている。それゆえ、癒やしを得るためにも罪の告白が必要であるというわけだ。告白していない罪があると、信仰の祈りの障害となるので、病もまたやがて再発する。
病人に手当てするために医師が呼ばれると、医師がまずしなければならないのは、病気の原因を突き止めることである。それができたら、彼は病気と闘うために有利な立ち位置を取れることになる。私たちの神もまた、すべての病気の本来の原因、すなわち罪にまで遡られる。私たちのなすべきことは告白であり、神のなすべきことは、赦しを与えて病気の原因を除き、癒やしを実現することである。医学によって治癒を求めるなら、まずしなければならないことは良い医師を見つけることであり、次に、彼の指示に正確に従うことである。それに対して信仰の祈りによる癒やしを求めるなら、私たちは何よりもまず主に目を据えなければならず、自分が主に対してどのように立っているかを知らなければならない。ヤコブは、私たちが健康を取り戻すために必要な条件を指摘している。すなわち、罪を告白して、罪から離れることである。
病気は罪の結果である。神が病気を使って私たちの落ち度を示し、私たちを懲戒し、私たちをそれからきよめようとなさるのは、罪のゆえである。それゆえ病気は罪に対する神の裁きの目に見えるしるしなのである。病気にかかっている人は、健康な人よりも罪深いということでは必ずしもない。反対に、神の子たちの中でも神が懲戒を与えられる人は特に聖なる者である。それはヨブの例を見ても分かるであろう。神がそうされるのは、必ずしも私たちが容易に認識できる私たちの中の欠陥を矯正するためではない。それは何よりも、病気の人の中にまだ残っている「古き人」の自我にその人の注意を向けさせるためである。その自我こそ、彼がその生涯全体を神のために聖別するのを妨げているものだからである。
病人が神癒への道を歩み始める第一歩は、聖霊に自分の心を探っていただき、罪の認識を与えていただくことである。罪の認識は悲しみを呼び起し、罪から離れようという決心と罪の告白とが続く。罪を告白するとは、アカンの場合のように、すべての罪を運び出してきて主のみまえに並べることである(ヨシュア7:23)。それは、もう二度とその罪に陥ることがないように、主の裁きに委ねるためである。真実の告白は赦しの新しい確信へと導く。
『その人が罪を犯しているのであれば、主は赦してくださいます』。これが約束である。私たちが既に罪を告白したのであれば、約束された赦しを必ず受けることができる。神がそれを与えられると信じて良いのだ。神の公式な赦しを信じる信仰は、信者においてしばしば曖昧なままになっている。その人が確信できないこともあるし、その人が最初に罪の赦しを受けた時の昔の記憶に戻ってしまうこともある。しかし信仰の祈りに対する答えとして確信とともに受ける赦しは、その人を新しい生涯と力に導き入れるのである。その時にはその人の心はキリストの血の力のもとに安らい、聖霊から罪の赦しの確信を受け、救い主がその愛と恵みでその人を満たす妨げとなるものは何もないという事実を確信するようになる。神の赦しは、それを受ける者の上に力をもって働く神的生命を授けるのである。
真実の告白をすることに同意し、赦しを受けた魂は、いまや神の約束をその手に握ることができる。主が病める者を起き上がらせてくださると信じることはもう難しくない。それを信じるのが難しかったのは、私たちが神を遠く離れていたためである。しかし告白と赦しとが私たちを神に近づける。病気の原因が取り除かれれば、病気そのものはもう囚われの身である。主が病人を罪のゆえに責められていたのであれば、いまや罪が赦されている以上、主はこの同じ身体に主の愛を現す恵みを受けさせようとされている。そのように病人が確信することはいまや容易である。主の臨在が現れる。神の生命の光が射し込んで身体を生かす。そして病人は、主とその人を隔てるものがなくなると同時に、信仰による祈りが病んでいる人を救うことを経験する。
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