三十五章十六〜二十九節はヤコブの祝福の後の三つの悲しみであり、三十六章はエサウの伝である。
ヤコブのペニエルの祝福が新たにせられ拡大されたる後に、彼に大いなる悲哀が来た。これは実に大いなる試みである。しかし
第 一 の 悲 し み (三十五章十六〜二十節)
祝福の後、第一に遭遇した悲しみは、その最愛の妻ラケルが産のために死んだことである。彼女が死んだところはエフラタすなわちベツレヘムであった。これは苦しい悲しいことであるけれども、ベニヤミンが生まれるためであった。このベツレヘムでダビデ王が生まれ、主イエス御自身も生まれたもうた。主イエスはユダの支派から
第 二 の 悲 し み (三十五章二十一〜二十六節)
二十五章十九節よりここまでにてイサクの働きが完成されるから、ここにヤコブの子等の表が記されるのである。しかしてここに実に恐るべき罪が記されてある。後に歴代誌上五章一、二節に
第 三 の 悲 し み (三十五章二十七〜二十九節)
第三の悲しみはその父の永眠である。もちろんイサクの死はヤコブの帰宅のすぐ後のことではないけれども、今イサクの伝を完結するためにここに
第三十六章以下はただ二人の伝である。しかるにエサウの伝はただ一章に略記され、ヤコブの伝は三十七章以下の全部を占めている。ちょうどイシマエルとイサクの伝の相違のごとくである。エサウの伝は名と地名のみであるに引き替え、ヤコブの伝は温かい人生の興味ある記事が生き生きとした書き方で明細に
第一、エサウの妻等 一〜五
第二、エサウの国 六〜九
第三、エサウの子等 十〜十四
第四、エサウの子孫の爵名 十五〜十九
第五、エサウの
第六、エドムの王等 三十一〜三十九
第七、エドムの諸侯 四十〜四十三
である。いま第一、第二および第三に関して注意すべきことを述べて以下を略しよう。
エサウの妻等の名に関して本章の記事は二十六章および二十八章の記事と齟齬しているように見ゆるがゆえに、比較して説明しよう。
本章によればエサウの妻等は、
(1) ヘテ人エロンの娘アダ (三十六章二節)
(2) ヒビ人ヂベオンの娘アナの娘アホリバマ (同上)
(3) イシマエルの娘バスマテ (三十六章三節)
(1) ヘテ人エロンの娘バスマテ (二十六章三十四節)
(2) ヘテ人ベエリの娘ユデテ (同上)
(3) イシマエルの娘マハラテ (二十八章九節)
(1) エロンの娘はアダとバスマテと異なれる名が
(2) アホリバマとユデテも同人にて、ユデテは女性のユダにて『
(3) イシマエルの娘の名も初めはマハラテであったが、(1) と同じくバスマテの名を用いたのであろう。
元来エサウの所有はヤコブのそれより多く、エサウの力はヤコブよりも強く、エサウの権はヤコブのそれより大いなるものであったが、今はカナンの地より退いてセイル山に至った。その理由は、第一にヤコブを恐れて(六節)、第二に所有があまりに多くして
エサウの子孫で殊に注意すべきは、アダに生まれた子エリパズの子にアマレクという者のあることである。アマレクは
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