創世記は始めの書であるが、殊にその第一章より十一章までを見れば、各章或る一つのことの始めを記している。すなわち第一章は創造の始め、第二章は人類の始め、第三章は罪の始め、第四章は宗教の始め、第五章は携挙の始め、第六章は審判の始め、第七章は救いの始め、第八章は回復の始め、第九章は契約の始め、第十章は国民の始め、第十一章は選択の始めである。
さて、この第一章は聖書全体の緒言として
さてここに霊魂の堕落したる四つの状態が録され、進んでこれが改造の七つの階段が示されている。
地は
とある。これはちょうど未だ生まれ変わらない人の心の絵画である。
一、その安定なく安息なきこと、海の水の常に波立つごとくである。すなわち『
二、暗黒なる有様である。すなわち『彼らは
三、空しきことは『
四、形なき有様は『ヱホバ、人の惡の地に
かかる様なる霊魂の改造される七つの階段が、また絵画のごとくに示されている。すなわち、
第一段は『光』の入り
第二段は『望み』なる『
第三段は堅い陸地が現れるごとく、霊魂の立場として神の愛が顕されるのである。水は審判を指す。世界を掩っている水が分かれて堅い陸地が現れるごとく、恐るべき神の審判を自覚している霊魂の中に神の愛が顕されて、ようやく救いの基礎ができてくるのである(ロマ書五章五節)。しかして土地は自然に植物を生じ、実を結んだように、神の愛が霊魂に注がれると直ちに霊の結ぶ
第四段、今までにもちろん光があったけれども、はなはだ漠然たるものであったが、今それが明瞭となるのである。あたかもこのとき太陽と月とが明らかになったごとくに、人の心に二つの光が明らかに見えるようになる。すなわち主イエスが自ら『われは世の光なり』(ヨハネ八章十二節)と言い、また『汝らは世の光なり』(マタイ五章十四節)と仰せられしごとく、主ご自身は義の太陽にて在し、我ら信者すなわちキリストの新婦たる者もまたちょうど月が太陽の光を反照して光を放つごとくに、この世を照らす光である。しかして星は、或いは既に栄光に入りし聖徒を指すか、或いは天使を指すのであろう。ともかくかくのごとく光が明瞭になるのである。
第五段、次に生物の造られるごとくに、霊魂に活動が起こってくる。創造の五日目に種々活動する動物が現れるごとく、霊魂にもだんだんと活動が起こってくる。すなわち信者がキリストのため、人のため、世界のために活動するに至るのである(エペソ二章十節を見よ)。
第六段、かくして終わりに万物の霊長たる人間が造られるごとく、人間の霊魂を改造したもう
第七段、しかして終わりの段は全き安息である。神が六日間にこの世界の改造の御工を成就してのち安息したもうたごとくに、人の霊魂の改造の御工が成就し、内住のキリストの形がそのうちに成れば、我らも神も満足して絶対的安息ができるのである(ヘブル書四章九節、ゼパニヤ書三章十七節)。
なんぢの神ヱホバなんぢの
霊魂の改造につきこの順序は注意すべきことである。すなわち第一に信仰の光、第二に望みの
一、安息日は言うまでもなく我等人間の衛生のために与えられた。七日の中に一日の休息がなければ人間も動物も永く続くことができぬ。但しキリスト教の時代において第七日の安息日が第一日に変更したことには深い理由がある。旧約時代は律法の時代で、六日間働いた報賞として七日目に安息を与えられたのであるが、新約時代はちょうどその反対に、第一日をよく休息して心身を回復し、その結果として六日間働くことを得るのである。この深い霊的意味を解せざるために、セブンズデイ・アドヴェンティストの人々は信者を惑わし、律法の奴隷とならしめるのである。
二、安息日は我等をしてエジプトより、すなわち悪魔の奴隷たる境遇から贖われているということを記憶せしめるものである(申命記五章十五節)。
三、我等は自ら
四、安息日は神の特別の賜物、すなわち神の愛のしるしである(エゼキエル書二十章十二節)。
五、安息日は永遠の契約の徴である(出エジプト記三十一章十六節)。
六、安息日は自己のわざをやめ、自己の放恣すなわち自己の好むところの道を行わず、好む
実際において主イエス御自身がわが内心に現れたもうことを発見すれば、深くこの幸いなる安息に入ることができるのである。
× × × × × × × × ×
今この第一章につきて霊的意味はほぼ研究したことであるが、聖書すべてにあるごとく、ここにも預言的意味を含みおれど、あまりに長くなりたれば今はこれを省略する。
| 総目次 | 目次 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 |
| 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
| 31 | 32 | 33 | 34 | 35 | 36 | 37 | 38 | 39 | 40 | 41 | 42 | 43 | 44 | 45 |
| 46 | 47 | 48 | 49 | 50 | 附録1 | 附録2 |