毎年の三つの祭の中でペンテコステの祭には大勢の人が参りました。他の二つの祭には諸国からユダヤ人は参りません。けれども諸国に住んでいるユダヤ人はできるだけペンテコステの祭には参りました。それは神の摂理でありました。神はそれによって王の王なることを示したまいました。今のこのペンテコステの祭にも神は国々から代表者をエルサレムに導きたまいました。そこで救いを聞き、また救われ、そして自分の国に帰って多くの人々にそれを説明するためでした。それによって他の国々に教会ができました。例えばローマにはどうして初めに教会ができましたか。またバビロンにはどうして教会ができましたか。またイスパニヤにはどうしてできましたか。たぶんこのペンテコステの日にそこより人々が参りまして、その時に救われてその国々に帰り、他の人々を主イエスに導いたのが起因でありましたでしょう。
これはイザヤ書二章三節の成就でした。また四十九章二十節も成就しました。また六十章をもご覧なさい。この章は初めからペンテコステを指します。一節より四節までをご覧なさい。『あなたの目をあげて見まわせ、彼らはみな集まってあなたに来る。あなたの子らは遠くから来、あなたの娘らは、かいなにいだかれて来る』(四節)。またそれによって諸国の人は悔い改めましたから、神はすべての国々にその福音を宣伝させたもうことがわかります。この福音はただ選ばれし民のためのみではありません。全世界の人々のためです。神はその日にエルサレムにおいてそれを確かめたまいました。神はだんだんにそれによって黙示録五章九節と七章九節の成就の仕度をなしたまいます。そのことの初めはこのペンテコステの日です。それによって主イエスの御血潮はすべての人々のために流されましたことがわかります。またすべての罪人を潔めることがわかります。またそれによって神はすべての人々に最も貴い恩恵を与え、すべての国々よりご自分のために王となり祭司となることのできる罪人を救い、またこれによって神はすべての人々のために天国に仕度したもうことがわかります。天国に諸国の人々のために住居が設けられます。万国の伝道は何処で始まるかと申せば、ペンテコステの恵みを受けし本国教会から始まります。万国伝道のために重荷を負いますれば、第一に大切なることは本国教会でペンテコステを起すことです。
この人々は自分の国の言語で神の恵みの話を聞きました。これは神が各自に同情を表して各自に恵みを示したもうことの表面のしるしです。『それぞれ、生れ故郷の国語を彼らから聞かされるとは』、これはバベルの塔の詛いの反対でありました。バベルの塔では神は人間を詛うて言語を乱したまいました。いま神はその詛いを祝福に代わらしめたまいます。いま神は人間が各々自分の方言で神の恵みを聞くようになしたまいます。
バベルの塔においては人々は相別れました。ペンテコステの日の恵みのためには相愛して一つになりました。いま人々は全世界のすべての語をもって神をほめたたえます。また人々は全世界のすべての語によって神に近づくことを得ます。神はすべての語をもって人間にご自分の御声を聞かせたまいます。
この『神の大きな働き』とは何でありましたかというに、カルバリ山に行われし御業でありました。或いは主イエスの甦りの御業でありました。或いは聖霊を降したもうたことでした。そんな神の大いなる御業を語りました。詩篇百七篇八節『どうか、彼らが主のいつくしみと、人の子になされたくすしきみわざとのために、主に感謝するように』。いまペンテコステの日にそれが成就しました。また百四十五篇四節から七節をご覧なさい。ペンテコステの日に聖霊に満たされし人々はその詩篇に従って神をほめたたえました。そのためにこの敬虔ある人々はみな怪しみました。
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