第八 萬國ばんこく傳道



諸國くにぐにの人のすくひ

五節

 每年まいねんみつ節筵いはひうちで、ペンテコステの節筵いはひには大勢の人々が參りました。ほかふたつ節筵いはひには諸國くにぐにから猶太人ユダヤびとは參りません。ども諸國くにぐにに住んで猶太人ユダヤびとは、出來るけペンテコステの節筵いはひには參りました。それは神の攝理でありました。神はそれによって王の王なる事を示し給ひました。今このペンテコステのいはひにも神は國々から、代表者をヱルサレムに導き給ひました。其處そこすくひを聞き、又救はれ、して自分の國に歸っておほくの人々にそれ說明ときあかためでした。それってほかの國々に敎會が出來ました。例へばロマにはどうしてはじめに敎會が出來ましたか。又バビロンにはどうして敎會が出來ましたか。又はイスパニヤにはどうして出來ましたか。多分このペンテコステの日に、其處そこより人々が參りまして、この時に救はれてその國々に歸り、ほかの人々をしゅイエスに導いたのが起因おこりでありましたでせう。

 これ以賽亞書イザヤしょ二章三節の成就でした。又その四十九章廿節も成就しました。又六十章をも御覽なさい。この章ははじめからペンテコステを指します。(一節より四節までを御覽なさい)『なんぢの目をあげて環視みまはせ、かれらは皆つどひてなんぢにきたり、なんぢの子輩こらはとほきよりきたり、なんぢの女輩むすめらはいだかれてきたらん』(四節)。又それって諸國くにぐにの人は悔改くいあらためましたから、神はすべての國々にその福音を宣傳のべつたへさせ給ふ事がわかります。この福音はたゞ選ばれしたみためのみではありません、全世界の人々のためです。神はその日にヱルサレムにおいそれたしかめたまひました。神は段々だんだんそれって默示錄五章九節七章九節の成就の仕度したくをなし給ひます。その事のはじめこのペンテコステの日です。それってしゅイエスの御血潮おんちしほすべての人々のために流されました事がわかります。又すべて罪人つみびときよめる事が出來るとわかります、又それって神はすべての人々に最もたふと恩惠めぐみを與へ、すべての國々より御自分のために王となり祭司となる事の出來る罪人つみびとを救ひ、又これによって神はすべての人々のために、天國に仕度したくし給ふ事がわかります。天國に諸國くにぐにの人々のため住居すまゐまうけられます。萬國ばんこくの傳道は何處どこはじまるかと申せば、ペンテコステのめぐみを受けし本國敎會からはじまります。萬國傳道のために重荷を負ひますれば、第一に大切なる事は、本國敎會でペンテコステを起す事です。

バベルの塔とペンテコステ

六〜八節

 この人々は自分の國の言語ことばで、神のめぐみの話を聞きました。これは神が各自おのおのに同情をへうして、各自おのおのめぐみを示し給ふ事の表面うはべしるしです。『各人おのおのおのが方言くにことばを彼等の語れるをきゝて』。これはバベルの塔ののろひの反對でありました。バベルの塔で神は人間をのろふて、言語ことばを亂し給ひました。今神はそののろひを祝福にかはらしめ給ひます。今神は人間が各々おのおの自分の方言くにことばで神のめぐみを聞くやうになし給ひます。

 バベルの塔においては、人々はあひ別れました。ペンテコステの日のめぐみためには、あひ愛して一つになりました。今人々は全世界のすべてことばもって神を讃稱ほめたゝへます。又人々は全世界のすべてことばによって神に近づく事を得ます。神はすべてことばもって人間に御自分の聖聲みこゑを聞かせ給ひます。

神のおほいなる御業みわざ

九〜十一節

 この『神のおほいなるみわざ』とはなんでありましたかといふに、カルバリやまに行はれし御業みわざでありました。あるひしゅイエスのよみがへり御業みわざでありました。あるひは聖靈をくだし給ふ事でした。そんな神のおほいなる御業みわざを語りました。詩篇百七篇八節ねがはくはすべての人はヱホバのめぐみにより人の子になしたまへるくすしき事跡みわざによりてヱホバを讃稱ほめたゝへんことを』。今ペンテコステの日にそれが成就しました。又百四十五篇四節から七節を御覽なさい。ペンテコステの日に、聖靈に滿みたされし人々はその詩篇に從って、神を讃稱ほめたゝへました。其爲そのためこの敬虔つゝしみある人々はあやしみました。



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